夢現な眠り

□13話
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No side






扉が閉まると同時に、ライトは口元を押さえる。目を白黒させ、とても苦しそうに咳き込んだ。

「っ、ごほっ! 気管に入った……!!」


「……おい」
シュウはすぐそこでのたうち回る弟をそっちのけに、気怠そうにドアを見つめた。

「昔の──……を、覚えているか?」
「っ、げほっ。…ん、何を?」
噎び声を混じえながら、聞き返す。あんなに無気力だった長男が、珍しく"何か"に興味を示している。

「……いーや……やっぱなんでもない」

不思議がる弟の言葉には答えず、彼は考え込むような強い眼差しで、ドアを見つめ続けていた。まるで何かを追い求めるように。








「もう大昔のことだからな」
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