夢現な眠り
□13話
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頭痛なう。
ふと気づいたらライトに頬を引っ張られてました。しかも、無表情のシュウも間近にいる。
なんだこれは!!
しかも、異様にお腹が重いし気持ち悪い。アオイのやつ、途方もなく食べ物を食いやがったな…。
そして、こみ上げてくる吐き気。
手で口を押さえ必死で我慢する。
絶対胃もたれだ。100%胃もたれや。
「ぎもぢわるい……ぉえ……」
目をぐるぐるさせながら、部屋を歩き回る。いや、足がふらふらするから勝手に動いちゃうのが正しいか。
「さっきは取り乱して失礼。二人して何か私に用でも? 何もないなら…うぷっ……速攻トイレに行かせてもらいますけども……」
当のライトは、なにやら面白そうに私を見てニヤニヤ笑う。
「えー、どうしよっかなー」
このドSめ……!!!!(今更)
人が苦しんでるのを見るのがそんなに楽しいのか!
殴りたくなる衝動を吐き気で無理やり抑えるが、今度は後ろから肩を抱き寄せられる。
「俺の話が終わるまで帰さない」
いや、そう言われましても。私のリバース衝動は収まらない一方なんですが。というか、むしろ悪化してます。
この見るからに豪華そうなカーペットを吐瀉物で汚されたら、困るのはきっと君らよ。
しかもなにこの急展開。
いつもの怠そうな感じはどこいきやがった。
冷えた体温が服越しに伝わり、うっすらと寒気が背中を走る。一応腕を振りほどこうとするが、何の効果もなかった。
少女漫画でいう、こういう展開は大抵女の子は非力になるものなのだ。理不尽すぎ。
……あ、いや、冗談抜きで力強いです。逆巻家は怪力の集まりなんですか。
後ろにシュウ、前にライト。
ご覧の通りサンドイッチになってます。
どうしてこうなってるかも全然分からないし、この状況はツラい。いや、もう正座を五時間強要される並にツラい。
それに、頭がぼーっとしてるから話しかけないでほしいのが、心の底からの本音だが……。
「えいっ!!」
「ぐふっ!!?」
何故か持っていた歯形付きの丸いパンを、ライトの口にねじ込み、シュウの手をひらりと避ける。
私は今度こそ部屋を出ていった。