夢現な眠り
□6話
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「るんるるんっ♪おっまたせしましたー!」
もう逆巻兄弟からの白々しい目には耐性がついた。
「佐倉エレン」
「なんでしょ〜か!」
今はルンルン気分なのだ。出来ればこのままの機嫌でいさせろください。
「私達の父上に当たるカールハインツから、貴女に関しての手紙が届きました」
「……らんららーん」
わたしはなにもきいていない。
わたしはなにもきいていない。
「現実逃避はお止めなさい」
私が甘かった! カールハインツの存在、頭からすっぽ抜けてた!
はい、物事がそう上手くいくわけないですよね。この世界じゃ尚更そうでしょうね!
少し浮かれてた私がアホでございました。
してして、内容は……っていってもヤな予感しかないですけど。
「要約するに、此処で保護しろと」
「い、いやぁ〜。そんな悪いですよぉ〜。私みたいなお荷物を置いとくなんてぇ〜」
「急にキモくなったぞ」
うるせぇ、オレ様たこ焼き野郎。屋台で売り飛ばすぞコラ。
「私としては何故このようなモノを保護するのかが疑問ですがね」
「女の子が増える……!!!」
あっれれ、ユイちゃん。結構喜んでる? 私の都合的にちょっと困るのですが。
「地味なエサが増えましたね。しかもこんな馬鹿っぽい人間が」
「カナトくん辛辣だな〜」
カナトが何か喧嘩を売ってきた気がする。私、馬鹿じゃないもん。ちょっとネジが緩いだけだって友達から言われるけど、馬鹿じゃねーし……!
「このまま滞在は決定なんですか!? 決定なんですか!!?」
「うるせーよバカ」
また言われた!
なんでこんな所に私が住まなきゃなんないわけ!? 需要なくない? え、絶望的に需要ないよね?
何も言わないスバルきゅんに助けてと視線を送るが、他人事のように無視られた。
おうちにかーえーらーせーろー。会ったことないカールハインツさん、何しちゃってくれてんの。
……と、駄々をこねても話はとんとん拍子で進んでいくわけで。
今日泊まらせてもらっていた部屋を、自分の部屋として使うことになった。
これはもう諦めるしかないの?
もはや、今までの切羽詰まった苦労は水の泡に……。
こうなりゃ何としてでも、私の血は守らなきゃ! そして家に帰るのが最終目標!
そうして、私のドッキドキ(※悪い意味で)な新生活は始まったのだ。