夢現な眠り
□3話
3ページ/6ページ
銀髪に赤い瞳。これらの容姿を持ってる者は一人しかいない。
見られた、逆巻スバルに見られた……!!
逃げろ。本能がそう訴えているのが解る。なんで私がこんな目に……。
赴くままに今すぐ駆け出そうとしたが、スバルに後ろから右手首を掴まれ、動けない。うっ、この馬鹿力め……!!!!
「何してる」
「ひっ!!」
私の平穏グッバイ。
そして、非日常よいらっしゃい。
なーんて、諦めてる場合じゃないぞ、自分!!
どうやって抜け出そうか…。
いくら離れたとはいえ、ここで騒いで、ユイちゃんを囲んでる他の吸血鬼にバレたらおしまいだ。
すると突然、自分の意志とは関係なく、体が勝手に動いた。
掴まれていない左の肘が、それはとても華麗なターンを描きながらスバルの左頬にクリティカルヒットしたのだ。
「ぶっ!!?」
…自分の肘ながら、すんげえな。
まさか地味で平々凡々な見た目の女子が、大胆な行動に出るとは思わなかったらしく、掴む手の力が大幅に緩んだ。これなら振り払える。
その隙に逃げさせてもらう。
「っ、待て!!」と聞こえたが、足を動かす事に集中!!
そして懸命に足を動かしながら、私は思った。
一つ言わせてもらおう。
何このチート的な行動は!!? 別に私の意思じゃないからね!?
人格ってチート能力高いんですか、ああそうですか。よりにもよって『私』にはそんな便利な能力くれないんですね、はい。
……喧嘩売っちゃったし、お先が真っ暗だ!!