夢現な眠り

□3話
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銀髪に赤い瞳。これらの容姿を持ってる者は一人しかいない。





見られた、逆巻スバルに見られた……!!


逃げろ。本能がそう訴えているのが解る。なんで私がこんな目に……。


赴くままに今すぐ駆け出そうとしたが、スバルに後ろから右手首を掴まれ、動けない。うっ、この馬鹿力め……!!!!

「何してる」
「ひっ!!」

私の平穏グッバイ。
そして、非日常よいらっしゃい。




なーんて、諦めてる場合じゃないぞ、自分!!
どうやって抜け出そうか…。
いくら離れたとはいえ、ここで騒いで、ユイちゃんを囲んでる他の吸血鬼にバレたらおしまいだ。

すると突然、自分の意志とは関係なく、体が勝手に動いた。

掴まれていない左の肘が、それはとても華麗なターンを描きながらスバルの左頬にクリティカルヒットしたのだ。
「ぶっ!!?」

…自分の肘ながら、すんげえな。


まさか地味で平々凡々な見た目の女子が、大胆な行動に出るとは思わなかったらしく、掴む手の力が大幅に緩んだ。これなら振り払える。


その隙に逃げさせてもらう。

「っ、待て!!」と聞こえたが、足を動かす事に集中!!

そして懸命に足を動かしながら、私は思った。






一つ言わせてもらおう。

何このチート的な行動は!!? 別に私の意思じゃないからね!?
人格ってチート能力高いんですか、ああそうですか。よりにもよって『私』にはそんな便利な能力くれないんですね、はい。



……喧嘩売っちゃったし、お先が真っ暗だ!!
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