夢現な目覚め

□コスプレの対価
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私は今、逆巻家の廊下を激走している真っ最中だ。
広い家には長い廊下が付き物だとは思うけど…。
逃げる時に長ったらしい物は不便だ。

こんなにも廊下の必要性に疑問を持ったのは初めてだよ?!


「ぎゃぁぁぁ!!!?」
「もーう、そんなに逃げなくても良いじゃない」

逃げる私。
追いかけるライト。
…しかも、コスプレで使うような婦警の服を持ちながらだ。

どうやら私にそれを着せて吸血したいらしい。

いやいやいやいや…そんなマニアックな趣味なんざ持ってないわ!
つか吸血だってもっとごめんあそばせ。

えっさほいさと走りながら、お腹に力を込め、声を張り上げる。

「しつこいんだよー!!! そんなの絶対着ないかんな!!? 喉か乾いたなら輸血のパックでも啜ってろやァァ!!!」

「輸血パックぅ? ひっどいなー」

苦そうな顔をするライトを無視して私は走った。

走れエレン。

走れメロ(強制終了)



〜そして十分後〜


「だぁ――!!! お前はひっつき虫か!!」

未だに逃走劇を続けております。
私もさすがに体力の限界というか…。

ライトのコスプレに対する執着心ヤバい!!
ねぇ、いい加減諦めようよ!?

「百面ちゃーん。そっちも逃げるの諦めなよ」


読・心・術!
なんで思ってる事が解るのさー!!?

「んふっ。百面ちゃんのことなら、ボクにはぜーんぶお見通しさ」
「キモいキモいキモいキモい」
「そんなに拒絶しなくてもいいじゃない〜」

イケメン×変態=萌え。

NOー!!!

すまん、前世界にいたライトファンよ。
私には難易度が高くて分からないみたいだ。

「まったくもう…」
「ふーんだ!!」


…って、あれ? 気配消えた…?
振り返ってみても、さっきまで追いかけっこをしていた相手がいない。

諦めた?
ねちねちくっつくライトにしては早い気もするが、良しとしとこう。








とりあえず、腹減った。
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