夢現な眠り

□6話
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私の目の前には澄んだ青空と、もっこもこなお城が建って、道端にはふーわふわなお花が咲いている。

全てがわたあめで出来ていた世界に、私は釘付けになる。

あれ?
これは…イチゴ味!
そっちはオレンジの味する〜♪

この口の中で溶けてく感じ…。 
幸せだぁ。

「あーん♪」

やみつきになった私は、無我夢中でわたあめを摘んでいく。
もう一口、もう一口!
止まらない。


手持ちが無くなった私は新しいわたあめを掴み、大きな口を開く。
でももう少しというところで、わたあめが私の手から逃げ出した。

あれっ?

待ってぇぇぇぇ!!!!
私のわたあめちゃーん!!!


ダイブするように動くわたあめを抱きしめる。
今度こそ逃がさないように、胸に押し込めた。

うへへ。
次こそ、いっただっきまーーす!!

くわえたトタン、周りが真っ暗になり、わたあめちゃんが闇の底へ吸い込まれていく。

ああ! 行かないで!
夢の楽園がぁぁ!














「──へぶしっ!」
突如、頭に来た鈍い痛みに私は飛び上がる。ぼけっと天井を見つめ、我に返った。


ハッ! そうだ。
私、逆巻家に泊まらせてもらったんだよね…。
いつの間にか寝ちゃってたな。

……って、ことはあのわたあめ天国は夢だったのね。
ショック。

「やっと起きたか」
「うへっ!?」
声のした方向に目を向けると、逆巻家のご長男様が私のベッドで寛いでいた。

……私のベッドでだ。

なんでここに!  
自分の部屋はどうしたよ、おい。

さっきの頭の痛みもコイツか?


「なかなか離れなかったから殴った」

文句あるか? とでもいうような目付きでそう言われる。


「離れなかった?」
「いきなり俺の髪を食べ始めただろう」

……それ、さっきの夢が原因だな!

現実でわたあめと思ってシュウの髪を食べるって…。
もう寝言の域を越えてるな。

「すみませんでしたァ! わたあめハーレムの夢を見たせいだと思われます」
「それで詫びてるつもり?」

鼻で笑われたけど、そもそも勝手に人の部屋に入り込んでベッドに上がってる時点でどーなのよ、ええ!!?
…と思ったが、言わない方が懸命だ。

それに土下座してんのに、これ以上なにをしろと。


「喉渇いた。あんたの血飲ませろよ」

デスヨネー。
そんな流れになるとは薄々思ってましたー。でも、


「丁重にお断りでっす☆」

いや、血取られるとかマジ勘弁。血液パックでも注文しろよ。
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