夢現な眠り
□5話
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空いてる部屋に通された私は、ベットに座り込む。
ふっかふかだー。
ベットの上でぴょんぴょん。定番だよね。
しばらくすると、ノックの音が部屋に響いた。
「はーい、どうぞー」
「失礼します…!!」
ユイちゃんがドアからこっそり頭を覗かせている。
うん、可愛い。
「クラス一緒だったけど、喋ったことないよね……? 私の名前は小森ユイです」
そのためにわざわざ来てくれたのか。
単純に嬉しい。
「佐倉エレンです! よろしくねっ」
「敬語もいらないからねー」と付け足すと、ユイちゃんはより一層笑顔になった。
わかりやすっ。
ふわふわ髪が揺れ、首筋に噛み跡がちらっと目に入ってしまう。
やっぱり直で見ると痛そうだ。
ホントさ、乙女ゲームの設定とは理解したものの…現実になってみるとエサ扱いは道徳的に胸が痛む。
…でも『乙女ゲームなんだからしょうがない』って言われちゃったら文句も言い難いけどね。
「エレンちゃん、気を付けてね?」
その一言で、言葉の意味を一瞬で理解した。もちろん、私の血を好き勝手に吸わせてたまるもんですか。
皆様、この"私"がトリップもの定番ヒロインだと誤解しないでもらいたい。
小説でよくあるのは、トリップしてきたヒロインちゃんは抵抗しないで、もしくはできなくて好き勝手に吸われちゃうじゃん? そして吸われる快感に目覚めちゃう……。
でも! 知っの通り、私はのほほんとしている、か弱い女の子ではなくってよ。
自分の持っている全ての力で抗ってあげますとも!
「だいじょーぶ。"自分"の身は"自分"で守れるから!」
「みんな、これに関してはしつこいから…」
「ほんとそれな」