夢現な眠り
□5話
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「起きましたか」
物凄い威圧を放っているレイジの声を筆頭に、各兄弟の目がこっちに向かう。
あうっ、視線が痛い……!
こんな時はパニックになんないで、めっちゃ丁寧に……腫れものを触るような感じで接した方が良いの…?
それともキャピッ☆な感じでハイテンションにいけば良いの?
こうなったらもう腹括って、バカみたいに明るく振る舞っちゃうよ? その方が読者的にも美味しくて良いよね?
覚悟を決め、この沈黙を破るべく私は声高らかに告げた。
「佐倉エレン、17歳! 好きなものはカップ麺、嫌いなものはセロリです! よろしくねっ☆」
「「……」」
人って、スゴイよ。
窮地に追い込まれると何でもできるんだ。空気クラッシャーにだってなれるんだよ、私。
結構頑張ったのに、更に空気が悪くなっている気がする。
いや、むしろ呆れてる? ほら、ここは笑う所だよ。
私的にはちょっとリアクションが欲しいかな。
「…バカだ……」
だ、誰だ!! バカと言ったヤツは!!
きっとソファで寝ているシュウのやろーだな。
留年したヤツに言われたかないわ!
こっちだって必死なんじゃい。
レイジは何か眉を顰めて唸っている。
「ここはしかめっ面じゃなくて笑うくだりですってぇ〜」
アハハハハ。
誰も笑わない。悲しい。
その時、ふと目に入った赤髪。これはこれはオレ様何様アヤト様のものではないか!
「おお! そこのアヤトくん! ク、クラスで会ったばっかりだけど、久しぶりぃ」
「チッ」
挨拶されたのに舌打ちかよっ。なんか不機嫌じゃない?
挨拶大事だよ! 挨拶!!
「いやぁ〜、クラスで受けたあっつぅーい視線──」
「テメェ…このオレ様に何をしたか、とぼけんじゃねぇだろうなァ?」
「………はいっ?」