夢現な眠り

□2話
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「ぎゃっ!!?」
心の中で悶々と考えていると、いきなりの浮遊感がした。つい乙女らしからぬ声を発してしまう。




──シュウに抱えられてると理解するまで数秒かかった。

無言の空気。え、気まずい。
これ何か言った方が良いの?


シュウの横顔が間近に来て、心拍数が跳ね上がる。トキメキではない、変なこと言って怒らせて、出血多量で死にたくないからだ。

落ち着け私の心臓!


でも思ったんだけど、ゲームで見たのより、やっぱり現実の方がかっこいい。
それは悔しいけど認めよう。クソ、あんた達って顔はいいんだよな。

吸血鬼(しかもドS)じゃなければ素直に「かっこいい」とか「Youイケメンだね☆」とか言えたのにな! あー、残念だな!

そしてシュウの視線を感じる。

うぅ……気になるけど、話し掛けてこれ以上私の印象を覚えられても困るし……。私は所詮モブだから空気に溶け込むのが丁度いい。








「穀潰し……やっと来ましたか」
校門が見えてくると、逆巻家の次男である逆巻レイジが校門の前で待機していた。そのレイジは抱えられた私を見て目を見開いている。

うん、私もすごーく驚いてるから一緒ですね。



門の向こう側をよく見てみると、リムジンの先端がちょこっと確認できた。

なるほど、あそこに逆巻家大集合☆ってか。よし、逃げよう。
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