†ルーン・マジック†
□激突
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旅芸人・武闘家・元傭兵……
それぞれの思惑を胸に彼等は同じ場所へと走り続ける。
そして―――――
「ん?」
「む?」
「あ?」
北地区にしては珍しく開けたこの場所で……三人の男達は集結した―――
(((…何だコイツ等?)))
至極当然の反応だ。
三人が三人、格好も雰囲気も明らかに一般人とは異なっている。
そもそも一般人はこんな場所には来ないし。
その事を踏まえた彼等の結論は………
(((コイツ等が例の殺し屋か……?)))
違う。
しかし、彼等はレドナから殺し屋の容姿は聞いていなかったので判断のしようが無い(エドガーの容姿は聞いている)。
だが、それでも彼等が普通じゃない事は明らかなので、各々が戦闘体勢をとる。
緊迫した空気が周囲を包み込み……それと同時にジェラルドが動いた。
まずは敵の数を減らそうと、パッと見武器を持っていない(風に見える)バルダを狙う。
ジェラルドの旅路は決して安全だった訳では無い。
時には『指輪』強奪の為、用心棒や賞金稼ぎとも戦って来たし、盗賊に襲われる事など日常茶飯事。
毎日それなりには鍛練も積んでいし、戦闘経験も豊富だ。
事実、彼と戦って無事だった者は誰一人として居ない。
ジェラルドは普段の無気力な姿からは想像が付かない程のスピードで一気に間合いを詰め……渾身の蹴りを繰り出す。
ジェラルドの蹴りは寸分の狂いも無くバルダへと吸い込まれ、周囲に鈍い音が響き渡り………
受け止められた。
(な、に……ッ!?)
(む、う……ッ!? 重い蹴りじゃの……)
それぞれが驚愕で一瞬、動きを止める。
刹那―――
「ラァッ‼ 俺を無視してんじゃ…ねぇッ!」
「「ッ!!」」
いきなりベルガが詰め寄って来たかと思うと、彼は手にしている大剣を思いっきり横に凪いだ。
通常、大剣はその重量故に振り下ろして攻撃する場合が多い。
その方が簡単だし、それだけで十分強いからだ。
しかし、大剣を横に凪ぐというのはかなり難しい。
その上、剣速も殆ど失われていない。
これを実現するには常人離れした筋力が必要となるハズだが、ベルガは至極あっさりとやってのけた。
二人はその事に驚きつつも、頭で理解するよりも先に体が行動を開始した。
ザッ………!
ブオォン!!
二人が地を蹴りベルガの攻撃を回避した瞬間――大剣が凄まじいまでの風圧を生み出しながら空をる。
(ちッ、擦ったか……)
(ふぅむ……この赤髪の男も強いのう)
バルダは何とか避けれたが、ジェラルドは片足を取られていた為回避行動が遅れたらしく、深くは無いが脇腹を負傷。
「ハッ!!避けられたか……二人同時にブッ殺したと思ったんだがな!」
残念そうな台詞とは裏腹にベルガは狂暴な笑みを絶やさない。
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