†ルーン・マジック†
□大騒動の幕開け
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強大な軍事国家になりつつあるスプラム国の城門前。
此処に朝から立っている門番の目が、前方から歩いて来る怪しい二人組の男女を捉えた。
どうやらこの先にある森から歩いて来た様で、随分と疲れている様子。
やがてその怪しい二人組が門番の所に近付き、少女――アリソンが唐突に口を開いた。
「暑いし疲れたから通して」
いきなりの物言いに門番は少し怯んだが、真面目な彼は実に冷静、且つ丁寧に返した。
「出来ません、まずは貴方方の荷物を確認し、次に簡単な検査を受けて頂きます。
国の治安を守る為ですので……御了承下さい」
「面倒くさい……別にしなくて良い」
「アリソン、ここで騒ぎを起こしてマークされるのも面倒だ」
「むぅ、仕方ない。おとなしくする」
「いったい、何をするつもりなんですか……」
「物探し」
「は、はぁ……そうですか」
「……………」
「ゼロ?」
「……俺も面倒になってきた」
「ん、とにかくそーゆう訳だから早く通して」
「いえ、ですから先ずは荷物の確認と簡単な検査を受けて頂き……」
「そもそも何で国に入るのにこんな面倒な事をしなきゃいけないの!」
「あの……それは先程説明致しました様に、国の治安を守る為……」
「この国がどうなっても別に良いひ」
「貴方方にとっては良くても、この国に住まう者にとっては死活問題ですので……」
余りにも勝手な物言いのアリソンに対し律儀に、そして真面目に言葉を返す門番だが、そろそろ疲労の色が濃くなって来た。
アリソンの側に居るジェラルドは先程から欠伸を繰り返しており、立ちながら寝てしまいそうな勢いだ。
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