†ルーン・マジック†

□逆転と結末
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「おい、何がどうなってんだ?」

「ラピスがさらわれたのよ! まんまと簡易魔道具に騙されたわ……!!」

「だから何なんだよ、簡易魔道具って!!」

「簡易魔道具は簡易魔道具よ! オリジナルの魔道具を真似して作られた大量生産の粗悪品!!
コレでラピスを映してたんだわ……!」


恐らく、煙玉が放たれてからすぐにラピスは拉致されたのだろう。
先程リッツが確認した時には、もうすでに偽者とすり代わっていたのだ。


「あ? 魔道具が大量生産だと……マジか?」

「マジよ。当然、効力や持続時間は圧倒的に劣るけど、ちょっと魔力を込めれば誰でも発動出来るわ……一回限りの使い捨てだけど」

「それでも凄ぇじゃねぇか。技術や知識も必要無ぇって事だろ?」

「まぁ、そうだけど……かなり値が張るから、そうホイホイとは使えないわよ。
ってゆーか、アンタさっきから聞いてばかりね……知らなかったの?」

「あぁ、今まで色んな国を回って来たつもりだったんだけどな。
簡易魔道具なんてモンは初めてだ。さすがは魔法大国スプラムだな」

「最近は軍事国家の方がしっくり来るけどね。
そんな事より……さっさとラピスを取り戻しに行かなきゃ!」

「おぉ、そうだった。のんびり話し込んでる場合じゃねぇな……
つーか、何でヤツ等は拉致ったんだ?
拉致る暇があったら、その場で殺す方が簡単だろ?」

「証拠を見せたかったのよ。依頼人にね」

「ん?」

「つまり……依頼人は本当にターゲットを殺したのか証拠を見たがるのよ。
でも、この場で殺してもあたしとアンタが居るから証拠を獲るのは難しいわ」

「何なんだよ、その証拠ってのは?」

「人によって様々よ。中には首を切り落とすヤツも居るけど……一番説得力があるのは、依頼人の目の前で殺す事よね」

「じゃあ、かなり切羽詰まった状況じゃねぇのか、今?」

「そうでも無いわ。もしラピスをさらったのが《虎の爪》なら、裏切り者のあたしを始末したがっているはず……
ヤツ等がラピスを人質に使うつもりなら、しばらくは大丈夫よ」

「確証はあんのか? 人質なんて取らなくても、エドガーはお前より強いんだろ?」

「でも、人質が居るか居ないかでは大違いよ。
ヤツ等はかならず、出来る限りラピスを有効利用するわ」

「じゃあ、一体どうするってんだ?
仮にラピスが人質に使われたとしても、お前じゃあ手も足も出ねぇだろ?」

「問題無いわ。ヤツ等がラピスを使ってあたしの身柄を要求したら……あたしは何も抵抗せずに従うつもりよ」

「どうする気だよ?」

「ラピスを逃がす。丸腰でも隙を突けば、あの子を逃がすだけの時間は稼げるハズ。
そうしたら……アンタはラピスを連れてこの国から逃げて」

「死ぬ気か?」

「ラピスが助かるならね。あの子をお願いね?」

「……よっしゃ、俺に任せろ」


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