カルディア学園

□アリソン初めてのお留守番
2ページ/10ページ

「ゼロ、上手くやれるかな?」


アリソンは思う。
ジェラルドのマジックの腕は一番間近で見ている自分が良く分かっている。
マジックに関しては全く心配していない。
寧ろ気に掛かるのはテレビ局。
定期的にテレビ出演すれば知名度も上がる。
上手くお偉方の目に留まれば更に名を売るチャンスだ。


「ゼロ、私がいると他の事に気が回らなくなるし……」


彼が自分を一番気に掛けてくれるのは純粋に嬉しい。
だが、自分を気に掛ける余り、他の事がおざなりになる事が多々ある。
よほどの変人でなければ、自分の問いをいい加減に返されて良い気はしないだろう。
そのせいでお偉方の機嫌を損ねるのはジェラルドに申し訳ない。

アリソンがたった一言でも『一緒に行きたい』と言えば簡単に了承してくれただろうが、そうしなかったのは上の理由故。
やっぱり彼には大好きなマジックをやり続けて欲しいのだ。


「でも、ゼロって社交性無いし……」


アリソンは自分の事をとんでもなく高い棚に上げた。
まぁ、ジェラルドもステージに上がっている間は至って紳士だ。
まさかお偉方に理由も無く横柄な態度を取る程、世間知らずではない……と思う。


「……暇」


アリソンはこれからどうしようか考える。
ジェラルドが居ない今、一人で外に行く気にはなれない。
そもそも留守番なのだから家を空けるのも気が引ける。
自分が『一人で家の留守番が出来る』とジェラルドに示し、これからも気兼ねなく仕事に集中して欲しい。


「でも……暇」


しかし、それでも退屈な事に変わりは無い。


「ゼロがいる時は寄り掛かったり、側で寝転がったりするだけで時間が過ぎてったのに……」


アリソンは淋しそうに部屋を見渡し……


「ん、チョコ食べよ!」


目に入った冷蔵庫に直進した。


「キ〇コの山とタケ〇コの里の贅沢食い……!
一人で頑張って留守番してるんだからこれぐらい……」


いつもは一日どちらかしか食べれないが……今回は彼女を止める者が居ない。
アリソンは誰も居ない部屋をキョロキョロと見回し、そして手早く二つの箱を手に取った。


「あむ、むぐ……」


アリソン、幸せそうな笑顔でキ〇コの山とタケ〇コの里を口に運ぶ。


「ん……」


最後の一つを食べ終わり、箱をゴミ箱へ捨てる。
時計を見るとそろそろお昼時。


「ん、丁度良い」


いったい何処が丁度良いのかイマイチ不明だが、アリソンは昼食の準備をする。
準備……と言っても、事前にジェラルドがおにぎりを作ってくれていたので、彼女は手を洗い、飲み物のジュースを出しただけなのだが。
チョコレートを食べた直後にジュースでおにぎりを食べる……そこら辺は流石アリソンと言った所か。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ