カルディア学園

□アリソン、皆と一緒にお留守番
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そして―――……


「つ、強い……」


ラピスが強過ぎる。とてもとても強過ぎる。

確かにラピスは日頃の行い故かとんでもない幸運の持ち主。
商店街の福引きでは大抵何かしら当たるという驚異の運。

だけどこれは流石におかしい。
三人が三人共殆ど勝てないなんて……


「あの、リッツさん?」


取り敢えず小声でリッツさんに聞いてみる。


「ま、そりゃそうよね」


対するリッツさんは申し訳無さそうにウインクした後、小声で答えてくれた。


「ラピスね、イカサマしてるのよ」

「イカサマ!?」

「いや、ラピスに悪気は無いのよ。
あたしの説明不足のせいで、ラピスはイカサマも立派な駆け引きのテクニックだと思ってるの。
イカサマは悪い事だっていう認識がないのよ。
だから見逃してくれると嬉しいわ」

「まぁ、私は構いませんけど……言わないんですか?」

「今まで結構やってきたからねー……悪い事だってバラしたら皆に黙って償いの旅に出かねないわ」

「……確かに」

「だから、ね? お願い」

「……ハァ、分かりました」

「ありがと。じゃ、アリソンの説得宜しく」

「え……?」


見るとアリソンさんは難しい表情。
険しい訳じゃないけど少なくともご機嫌ではなさそうだ。


「えっと、アリソンさん。どうかしましたか?」

「……10時」


10時? あー……


「そろそろラピスのお土産を頂きましょうか」

「うん!」


一瞬で笑顔に戻ってくれた。やっぱり可愛いなぁ……
さっきの難しい表情も、私達が10時のオヤツを忘れてないか不安だったんだ。
実際に私はアリソンさんに言われるまで忘れてしまっていたけど……


「んー、んー」


アリソンさんがバリバリと包装紙を破いている。
まぁ、今更なので何も言うまい。
何となく上品な箱を開けると、中には黄金色の芋羊羹。
漂う甘い香りについつい私も唾を飲み込んでしまう。


「おぉー……」


アリソンさんは目を輝かせてストレートに感情を現す。
かと思ったら、大きなコップを両手に持ち、烈火の如く飲み始めた。


「んぐ、んぐ……かふッ!?」

「あああああああ、そんな一気に飲もうとするから……」


予想通りアリソンさんは飲みきれずに噎せてしまった。
あぁ、ハンカチを用意しておいてよかった。
使わずに済むのが理想だったけど。
取り敢えず顔に掛かったジュースを拭いてあげねば。


「大丈夫ですか?」

「んゆ、牛乳……」

「牛乳に変える為に中身を空けようとしたんですね?
私がやっておくので着替えて下さい」

「ん、分かった……」


そう言うとアリソンさんは洗濯機の方へ。さて、私もやらないと。
まずはアリソンさんが残したジュースを空けなきゃ。


「ん……」

「極普通に間接キスかますぐらいまでレベルアップしたのね」


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