カルディア学園
□お婆ちゃんを守れ!
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「人質取ったのに敵の援軍にボロ負けして、ボコった奴にもリベンジされやがったんだ。
アイツはジグロードの面汚しだよ」
「フランちゃんは言葉遣いが悪いねぇ」
「ガキの頃から荒んだ環境に居たらそうなるさ」
「ウサちゃんは好きなのにねぇ……」
「ちょッ!? それ他の人に言わないでよ?」
「なんで? 女の子らしい趣味なのに」
「だっておかしいじゃん。あたいみたいにバイク乗り回して喧嘩三昧な女がウサちゃんとかクマさんグッズが好きだなんてさ」
「おかしいとは思わないけどねぇ」
「とーにーかーく! 絶対言わないでよ?」
「はいはい」
フランはヤケ気味に茶菓子をバクつき緑茶を一気飲み。
そして手慣れた様子で急須からお茶を注ぐ。
「あ、そうそう」
そこでフランは思い出した様に鞄を漁り、今度は一冊の雑誌……というよりカタログを取り出し、祖母の前に広げた。
「これ、お婆ちゃんと一緒に選んだサイドカー。
もうすぐ買えそうなんだ!
これ買ったら二人で色んなとこ行こうね」
「悪いねぇ、高いの選んじゃって」
「値段隠して見せたからしょうがないよ。
値段見せたらお婆ちゃん遠慮して安いの選ぶだろうし。
お婆ちゃんを乗せるんだから、お婆ちゃんが気に入った奴じゃなくちゃ意味無いし」
「こんな事されたら長生きしなきゃねぇ」
「そうだよ。これで海とか飯屋に行ってさ。
せっかくの高い買い物だから出来るだけ長く使いたいし……長生きしてよね、ホント」
「大丈夫だよ。若い頃は熊と格闘して生き残ったんだからね」
「初耳だよその話!?」
「おや、そうだったかい?
なら爺さんとの馴れ初めから話そうかね……」
フランは話しに聞き入っていた。
初めて聞くというのもあるが、祖母の話を聞く時はいつもそうだった。
小さい頃、何度も同じ絵本を読んで貰っていたが、お婆ちゃんだと何故か飽きないのだ。
お婆ちゃんも孫に話を聞かせるのが好きなのか、調子の良い時はドンドン饒舌になる。
故に、二人共時間が経つのを忘れてしまう事が多々ある。今回もそうだった。
「あらあら、もうこんな時間」
「ホントだ……じゃ、そろそろ帰るかな。
何かして欲しい事ある? それ終わらせて帰るけど」
「なら戸棚の掃除をしてくれないかい。埃が溜まっててねぇ」
「了解」
フランは戸棚から多数の置物を出していく。
「あれ?」
「どうしたの?」
「木彫りの熊って無かった?
二本足で立ち上がってる奴」
「無い? おかしいねぇ……あれは若い頃村を荒らしていた暴れ熊を退治した御礼に、地元の人に彫って貰った物なんだけど」
「熊に勝ったの!? そして狩ったの!?
生き残ったっていうから、てっきり危機的状況から逃げ切ったんだと……」
「ホッホッホ……ちなみにその熊を彫ってくれたのが爺さんだよ。
それが爺さんとの出会いだった」
「マジでッ!?」
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