カルディア学園
□図書室に巣くう混沌
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刹那、周囲の空気がまた一段と冷える錯覚を覚えた。
「つまり私がジェラルド・クライドと同類である……と、そう思われている認識で宜しいですか?」
「そそそそそそんな滅相も無い!
ただ一般生徒はクライドさんの事知らないだろうと思いまして……!!」
「だからと言ってわざわざ私に尋ねる事は無いでしょうに」
「だ、だって……男子に聞くのは怖いし……」
「貴女のクラスにも女子の不良はいるでしょう?」
「幹部級じゃないと余り関わってないと思って……
でも、ルルはクライドさんと何か因縁があるそうですし、クオールさんは近付くと色々触られるって聞きますし……」
「その幹部三人の中で唯一クライドさんとの交戦経験が無いのが私なのですが」
「す、すみません! 勉強不足でした……!!」
「頭を上げなさい。そしてそんな事を勉強する必要はありません。
まぁ、0から地道な聞き込みだけで私に辿り着いた根性に免じて話ぐらいは聞きましょう」
「あ、ありがとうございます!」
「それで、何を知りたいのですか?」
「えっとですね、ヴァイスハイトさんには質問というより、クライドさんに関する噂の真偽を教えて頂きたく……」
「それこそ本人に聞けと言いたい所ですが良いでしょう。
私に分かる範囲でなら御答えします。彼に配慮する義理もありませんし」
「では……」
キーンは予め書いておいたメモに目を移しながら……
「クライドは老若男女問わず蹴り倒す悪魔の男というのは本当ですか?」
「恐らくは。彼はいつも過剰防衛の度が過ぎます。
相手が倒れても尚、首や関節等の弱い部位を狙って追撃を止めません。
そしてそれは相手が女子であっても同じ事。
事実、リッツやルルと相対した時も容赦しませんでしたからね」
「うわぁ……」
「ただ、クライドさんが本当に老人や子供に危害を加えたかと聞かれると疑問を持たざるを得ません。
話の冒頭でも言いましたが、彼は度が過ぎた過剰防衛こそするものの、自分から進んで喧嘩に乗り出す事は殆どありません。
時々、彼の友人等が危機に晒された時には打って出る事もありますが……これは一方的な暴力では無いので除外します」
「えっと……」
「……つまり、相手から仕掛けられれば容赦はしませんが、逆に言えば仕掛けなければ危害を加える事はまずありません。
そして……老人や子供がクライドさんに喧嘩を売ると思いますか?」
「あ……」
「分かりましたか? 彼は邪魔になるなら例え子供でも容赦無し。
しかし子供がクライドさんに危害を加えるなど考えられない。
故にクライドさんが子供に暴力を振るう確率もほぼ0%です」
「な、なるほど。では次の噂を……」
「まだあるのですか?」
「ひぃ!? ごごごめんなさい! 調子に乗りました!!」
「取り敢えず何を聞きたいのか言って下さい」
「はい……」
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