カルディア学園

□図書室に巣くう混沌
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「それで、ジェラルドさんに就いて聞きたいそうだけど?」

「あ、うん。何か知らないかな?」

「曖昧過ぎる……そもそも、私だってジェラルドさんの深くを知ってる訳じゃないし」

「あ、と……じゃあ、クライドさんはセシルから見てどんな人?」

「どんな人……何時も眠そうにしてる人、かな。
コーヒーと野球チームが好きで、一流のマジシャン。
アリソンさんの保護者みたいな人だけど、方向音痴ですぐ迷子になる困った人」

「……眠そうにしてるイメージしか合わない。
それにアリソンさんって誰? ラピスが言ってたアっちゃんと何か関係が?」

「関係というか本人だけど。ただラピスだからもう諦めてるけど、他の人がアっちゃんって呼んだら不機嫌になるから止めてね?」

「あ、うん……でも"さん"付けなんだ?」

「だって年上だし」

「そうなんだ……えと、もしかしてクライドさん良い人……なのかな?」

「客観的に言えば十分に悪い人だと思う。
ただ、これはジェラルドさんの受売りだけど……大半の人は灰色だから」

「灰?」

「うん。完全に白か黒の人なんてほんの一握り。
殆どの人は白と黒が交ざった灰色だ……って。白寄りか黒寄りかの違いはあるけれど」

「クライドさんも……?」

「うん、あの人は黒寄り。服装じゃなくて。
色々倫理感がおかしいけど、しっかりアリソンさんを守っているのは凄く立派だと思う」

「そうなんだ……あ、じゃあ最後にクライドさんの苦手な物とかって知ってる?」

「なんかこの質問が本命に思える……」

「や、そそそそんなこと……!?」

「……まぁ、何をするにしても自己責任でね?
と言っても、ジェラルドの苦手な物って辛い食べ物しか分からない。
嫌いな人は何人か居るハズだけど」

「なるほど、大体分かった。ありがとう。無理言って本当にごめんなさい」

「どう致しまして。でもジェラルドさんの事を調べてどうするの?」

「べ、別に……」

「……さっきも言ったけど、何があっても自業自得ね?
本当に細心の注意を払う様に。ジェラルドさん容赦しないから」

「う、うん。分かった……」

「じゃあね、私人を待たせてるから」

「うん。本当にありがとう!」






「さて、どの様な意図を持って私にジェラルド・クライドの事を尋ねるのか……理由を御聞きしても宜しいですか? キーン・ブックスさん」


水色の長髪。知的な銀縁眼鏡がキラリと光るカルディア女子ヤンキーの副番……エレナ・ヴァイスハイトはいつもの冷めた眼で問い掛ける。


「は、はひ……」


対するキーンはその気品すら感じさせる威圧感にマジ泣きしながら呂律の回らない舌で何とか返す。


「……私は肯定ではなく説明を求めたのですが?」

「あ、う……えぇと、蛇の道は蛇と言いますか……」


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