カルディア学園

□剛の璧
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翌日


「セシル、セシル! この後どうする?」


右手をジェラルド、左手をセシルと繋いだアリソンが首を後ろに回しながら問い掛ける。


「取り敢えずジェラルドさんの覚醒次第ですね」


そう言いながらセシルは毎度の様にフラフラと歩くジェラルドを見やる。


「ゼロはどうしたい?」

「寝たい」

「じゃあ家に行く?」

「そうだな……別に河原で遊んでも良いが。あそこなら眠れる」

「あの、服を水浸しにするのはちょっと……着替えもありませんし」

「じゃあやっぱり家に行く。この前ハリスがゲーム置いてったでしょ?」

「しかし格闘ゲームだからな。
アイツ何故かやたらと女キャラで来たな。俺に勝ったら妙に喜んでいたが」

「んゆ? 格闘ゲームでゼロに勝つなんて普通でしょ? 何でハリスが喜ぶの?」

「俺が知るか」

「えっと、使い慣れないキャラの練習……では?」

「つまりは試し斬り。俺はクック先生か」

「クック……?」

「知らなければ良い」

「はぁ……?」


至っていつも通り。

アリソンが問い掛け、ジェラルドがローテンションで微妙な答えを出し、それにセシルがツッコミを入れながらまともな意見を出す。

間違なくセシル一人が苦労している構図だが、彼女はそれを苦だとは思わなかった。
だからか、最近ではこの三人の中で一番年下なのにも関わらず、周りから長女や母親と言われたりも。


「では、この後はジェラルドさん宅にお邪魔するという事で」

「ん。お菓子買ってく!」

「家にあるだろう?」

「セシルの分!」

「ふむ……セシル、アリソンからねだられても菓子はやるなよ?」

「んゆ……!?」

「あぁ、はい。アリソンさん、ご馳走になりますね?」

「……むぅ」


セシルの分もお菓子を買い、それを分けてもらう事で自分の量を増やす……彼女にしては頭を使った方だが、いとも簡単に看破され少々拗ねながらそっぽを向いた。

セシルはそんなアリソンに苦笑しながら耳元でそっと声を掛ける。


「でも、食べきれなくなったらお願いしますね?」

「ッ!? うん!」


アリソンは首をセシルの方に向けて笑顔で頷く。
これに関してジェラルドは何も言わないので黙認してくれるらしい。


「じゃあ、じゃあ……向こうの駄菓子屋さん!」

「……俺、行くと毎回あそこの犬に吠えられるんだが」

「……行かないの?」

「いや、行く。ラーメン買う。
当たりが出たらもう一つだ。未だかつて当たった事は無いが」

「ジェラルドさんって何かと運が悪いですよね」

「まぁ、普段はポーカーで相手の表情を読んで運は余り使わないからな。運に見放されても仕方ない」

「そういう物ですか?」

「そういう物だ」


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