カルディア学園

□殴れなくなったボクサー
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「でもまぁ、そんなノーテンキに過ごせたのも中学までだったんすけどね。
その頃になると見栄とかプライドとか強くなるっすから。
んで、その頃になったら案の定"天才"の壁に苛つき始めました。
以前は気に入っていた三年に一人の秀才のニックネームも煩わしく思う様になって……だからジムの人には"マシンガンハリケーン"って呼ばせてました。
正に中二病! タイムマシン知りません? 何か当時の俺を抹殺したくなりました」

「残念ながらタイムマシンは無い。だから落ち着け。
そもそも、今もその異名を使っているお前が昔のお前を諌める資格は無い」

「や、このニックネームは昔の俺を知ってる人が広めた物で……俺自身、別のニックネームを広めようとはしたんすけど時既に遅しで。
んで、話しを戻しますが……とにかく当時の俺は本当に天才との差に悩んで苛ついていました。
でも凡人よりちょっとだけ才能あったのも事実な訳で。
だから同期の奴等に嫉妬されて……それが余計に苛立ちましたねぇ。
俺は天才に勝ててねぇのに何で当たるんだよ! 当たるなら天才の方に当たれよ! って」

「会った事の無い天才より、身近に居る秀才の同期の方が目に付くんじゃないか?」

「えぇ、今思えばそうなんすよねぇ……
んで、当時すんげぇ仲の良かった奴が居まして。
でもほんの些細な事がキッカケでマジ喧嘩になっちまいまして。
それでまぁ、その後はベルガさんレバンさんの知ってる通りやっちまった訳です。
裸拳の右のストレート一発でケリが着きました。
結果、俺の右手と親友の顔面が折れちまって。
その後、俺はボクシングジムを止めさせられてドロップアウト一直線っす」

「今その親友は?」

「怪我も治ってまたボクシングを始めたらしいっす。
つっても、今更会いに行ける訳もないんすけどね。
病室で謝って……それ以来会ってません。
んで、ボクシングを止めた俺は今の俺がドン引きするぐらい暗くて。
そんな俺を慰めてくれたのがエレナ。励ましてくれたのがレオ姉で」

「あー、レオナって確か現副番エレナの姉貴で前々スケ番だったか?
そいつが卒業したと同時に1年だった妹のエレナがスケ番になって……次の年にリッツがトーナメントで優勝して、エレナは副番になったんだよな」

「そうだな。まぁ、下級生であるリッツの下に就いてしっかりとサポートする辺り器の大きい女だ」

「寧ろリッツよりスケ番らしいよな。いや、ヤンキーを纏めて規律を守らせるのがスケ番の役目って言うんならだけどよ。
リッツは基本的に喧嘩と女遊びしかしねぇからな。
まぁ、心酔している奴は多いからそこら辺はスケ番向きか」

「それだけ聞くと、リッツさんてエラく男前に聞こえるっすよね。喧嘩と女遊びって……」


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