カルディア学園

□ヒーローに成りたかった少年
2ページ/5ページ

「良いじゃねぇか。よく言うだろ? 戦争は早い者勝ちってなぁ!」

「兵は神速を尊ぶ……の事を言ってるのか? 大分デフォルメしたな」

「良いじゃないっすか。ベルガさんがクルクルパーなのは今に始まった事じゃねぇっす。
それより、中学入って強い不良が居て……どうなったんすか?」

「あぁ、一回リンチしていた所を止めようと挑み掛かったが、結局奴一人に返り討ちだ。
だから格闘技を学んで強くなろうとした」

「王道っすねぇ……此所までは未だ主人公っぽいっすよ!」

「で、だ。俺は自分よりもデカい相手に対抗する為にある技を多用し磨いていった」

「んー、レバンさんの代名詞と言ったら……やっぱり前蹴りっすか」

「そうだ。前蹴りならリーチも長いし、ダメージを与えつつ相手を引き離せるからな。
中には臆病者だと揶揄する奴も居たが……俺は悪をボコに出来ればそれで良かったから気にしなかった」

「それでそれで?」

「だが少しやり過ぎてしまったらしくてな。教師の目に留まってしまった。
俺は何度もいじめを止める為だと主張したんだが……大人達は単なる喧嘩としか見てくれなかった。
学校側にしてみれば、いじめがあったという事実を隠す意図もあったんだろう」

「うわちゃー。それで?」

「それでまぁ、一気に不良のレッテルを貼られた訳だ。
そうしたら今度は弱い者いじめなんてしない"本物"の連中に目を付けられてな。
流石に格が違った。ただデカいだけのアイツには圧勝したのにその時は勝ったり負けたりの繰り返しだ」

「レバンさんは目立つっすからねぇ。
つーか、レバンさん的にはその"本物"の連中ってどうなんです?
やっぱり悪認定でシバく対象っすか?」

「場合によるな。当人同士が了承しての喧嘩なら良いが、相手が拒否しているのに殴り掛かるのは悪だ。
そして俺は喧嘩を拒否していたが大抵の奴等は喧嘩をしに来てたから悪認定して絞めていた。
それから一年経って……二年になって暫く経った頃か。
あんまり前蹴りを多用したせいか、いつの間にか破城槌と呼ばれる様になった。
破城槌知ってるか? 城門を突破する時に使う攻城兵器のアレだ」

「えぇ、何となく分かります」

「それで、余計に増えた挑戦者を返り討ちして行く内に、いつの間にか俺が番長という事になっていた。
それで完全に不良のトップだと見られて俺の憧れるヒーローから致命的に離れてしまった。
まぁ、今考えると別にそれでも良かったんだがな。
番長であろうと無かろうとやる事は変わらない」

「あー、そーいや確かに喧嘩売って来たチンピラを逆にボコってトドメを刺そうとしたジェラルドとドンパチやってたな」

「あ、それ聞いた事あるっす!
確かレバンさんとやった癖に引き分けたから、それでジェラルドの名前が広がったんすよね!」

「おう、それでリッツが一人で焦ってジェラルドにタイマン挑んだんだよなぁ……レバンと引き分けたと知ってりゃあ、リッツも油断しなかったと思うんだけどよ」


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ