カルディア学園

□剛の璧
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多くの人々が行き交う往来で二人の男が対峙していた。
そんな二人をある者は無視して通り過ぎ、またある者は二人を煽る様に声を掛ける。
日常の中に現れた小さな非日常はギャラリーの心を掴んで離さない。

やがてレフェリーが前に出て試合の開始を宣言する。
それと同時に二人の男は壮絶な殴り合いを始めるが……片方の男が放った波動により、その勝負は幕を閉じた。
テレビ画面には大きくKO!!の文字が浮かび上がる。




「くぁーーー! やっぱダドさんには敵わねぇっす」

「なーっはっは! 経験が違うんじゃ経験が」


5人程の男がテレビの前に座り、今し方終えた格ゲーの勝者……この5人の中で一際目立つ大柄で太った大男を称賛する。


「にしたってリアルでもゲームでも強いってなんすか」

「そんな奴ぁワシ以外にも大勢居るわ。
バルダやハリスもそうやろがい?
まぁ、ハリスの奴はゲームなら格ゲーに限らず上手いけどな」

「けどハリスの奴、この前ダドさんに負けましたよね? 格ゲーで」

「あぁ、あん時は使い慣れない女キャラで来よったからな。
何でも、それで勝ったら隣りに座ってた彼女にその女キャラの格好をさせたいってんで。
まぁ、最終的にはゲーマーのプライドが邪魔して半裸の野性児キャラ使って勝ったは良いものの、『勝ったよ〜!』って言いながら彼女に振り向いたら『私にそんな格好させるつもりなんですかー? キャーーーーー、ハリスさんマニアックーーー!!』って言われながらひっ叩れてたな。
女キャラには一切文句言ってなかったから、彼女がピッチピチのレオタードも許容範囲なのに寧ろ驚いたが」

「何すかそれ〜」


ダドの話しに仲間は大笑い。
何処にでもある仲の良い男子高校生の集まり……しかしその空気は一瞬にしてぶち壊される。


「ダドさんッ!」


息を切らして部屋に入って来たのは一人の男。
彼もまたダドを慕う者の一人だ。


「おう、そんなに慌ててどうした?」

「ボブが……ボブがやられました!」

「ボブだぁ? 誰にやられた?」

「ジェラルド・クライドですよ!!」

「詳しく話せ」

「えぇ、いやまぁ……ボブが腕試しするってんでジェラルドに喧嘩売ったんすよ。
でも全く敵わねぇで……それで良いハイキック食らって倒れたんですけど、それでもアイツは蹴り続けて……
俺も止めようとはしたんですがあっさり返り討ちで……ようやく立てる様になって此所まで来たんです」

「そうかぁ……怪我の具合は?」

「ボブはダドさんと同じく頑丈なんで思った程大きい怪我じゃ無かったです。
俺も腹に数発蹴り入れられただけなんで余り」

「そうか……確かに喧嘩売ったこっちが悪いが向こうも少しばかりやり過ぎや。
明日辺り、詫びと文句でも言いに行くか……」


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