カルディア学園

□ヒーローに成りたかった少年
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少年はただヒーローになりたかっただけなのだ。
弱きを助け悪を挫く正義のヒーローに。

別に回りから称賛を浴びたい訳では無い。
ただただ自分の憧れであるヒーローと同じ事がしたいだけだ。

だからこそ少年は回りの悪に立ち向かった。
陰口を叩く者、暴力に訴える者……様々居たが少年は皆平等に自身の"力"で黙らせる。
テレビのヒーロー達も最終的には悪の怪人を爆破させているし。


「ふ……」


そんな昔の自分を思い出し、スキンヘッドの男……カルディア男子ヤンキーNo.2の実力を誇るレバン・マディスンが含み笑いを零した。


「んあー? どうしたんすかレバンさん。
昨日のバラエティーでやってた『あっ、50過ぎのパン喰い競争』でも思い出しましたか?」


対し、彼に話し掛けたのは黒い肌とドレッドヘアが特徴的な男。
1年生でありながらレバンに次ぐNo.3の実力者。


「いや、俺が思い出してたのは昔の自分だ。
確かに昨日のパン喰いは面白かったが……ぶふぉッ……ははははは!」

「あ? どうした」

「あぁ、ベルガさん……レバンさんが昨日のバラエティー思い出して爆笑してるっす」

「おうおう、思い出し笑いでそこまで爆笑できるたぁ人生楽しそうだなぁ、おい」

「レバンさんって笑いの沸点が異様に低いっすよね。
今日日、校長のおやじギャグを聞いてマジ笑いする人なんてレバンさんしか居ないっすよ。
校長も校長で気を良くして更に話が長くなるしで。いやまぁ、確かに最後の『天上天下のサザンクロスッ!!』は訳分かんなくて面白ろかったっすけど」

「あー、そん時俺居なかったわ」

「んで、レバンさんは何で含み笑いをしてたんすか? バラエティーを思い出す直前の」

「ん? あぁ、俺は当時から変わってない……と思ってな。
小学生の頃から自分が悪と判断した奴は片っ端から絞めていったな」

「おぉ、凄ぇ! レバンさんって小学生ん時から既に中二病だったんすね」

「リーチだ、覚えておけ。しかしまぁ、こう見えても勉強はそこそこやってたんだ。
中学に入る頃には『チャラついた格好はいかん』と頭をスキンヘッドにしてな?
回りの奴等には何回も剃ったと言ったのに結局ハゲハゲ言われて遺憾だった」

「そいつ等は絞めなかったんすか?」

「別に悪意を持って言ってる訳じゃなかったからな。
まぁ、小学生の頃はまだ何とかなったんだが、中学になってからは不良も質が悪くなってな。
中には群れてリンチしたり、一際デカくて強い奴も居たから中々黙らせる事も出来なかった」

「あ? でもオメー、中学では番張ってたんだろ?」

「話しは最後まで聞け。何事にもせっかちなのがお前の悪い癖だ」


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