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□君を愛してる。
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「えぇっと‥‥‥。」
確か、こっちだった筈‥‥‥?
そうして右に曲がると、今までと同じ様な道が広がっていた。
「‥‥‥どうしよう。」
立ち尽くした千鶴を、行き交う人々は不思議そうに見ていた。

半刻ほど前。
千鶴は、めでたく迷子になった。
うぅ、やっぱり原田さんについてきてもらえばよかった‥‥‥。
後悔が胸をよぎる。
“ここら辺は地図持ってても迷う事がある”
原田さんの言った言葉、冗談のように聞こえるけど、本当だったみたいだ。

後悔してても、始まらない。
「もう少し!」
そう自分に渇を入れると、千鶴はまた歩き出した。
市場で買った食材が、やけに重たかった。

それからまた半刻。
日はもうとっくに暮れ、当たりは暗闇と静寂に支配された。
千鶴はまだ、家にたどり着けていなかった。
「‥‥‥。」
知らない土地に、独りきり。辺りは真っ暗で、なにも聞こえない。
流石の千鶴も、心細くなっていた。
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