01/31の日記

06:44
TOA 烈風×妖獣
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嫌い。嫌い。大嫌い。

「シンクの馬鹿。嫌い、嫌いー!」

ぼろぼろと大きな紅い瞳から涙をこぼしながら嫌い嫌いとうわ言のように同じ言葉を繰り返し言い続けるアリエッタはまるで駄々をこねる幼子のようで酷く滑稽に見えた。
それでも長い間人の言葉を知らなかったこの少女にとってそれは最大級の罵倒なのだろう。やっぱり彼女のボキャブラリーが少ないさまを見ていると哀れだなあ、とは思う。
仮にも十六年生きてきたアリエッタが造られてまだ二年しか経っていないこの僕に同情されているだなんて…本当、笑えない。

「シンクの、ばかぁ」

「あっそ、だから何?」

その、あまりに見苦しい言葉の羅列をただ大人しく聞いているのもそろそろ飽きたのでわざと突き放すようにそっけなくそう言ってやる。
するとアリエッタは見るからに"傷付いた"と云わんばかりの表情をした。

ああ、でもその表情は…嫌いじゃないかも。
さっきみたいに可愛くないことを言いながら可愛くない顔をしていたらなんかムカつくけど。彼女のこんな本気で悲しそうな表情は見ていてとても愉快だ。
愛おしいと言っても過言でない。あとね、

「シンクの、いじわるぅ…」

そんな風にうるうると大きな瞳を濡らして僕のことを嫌い嫌いと言っておきながらずっと、握りしめている僕の袖を決して離そうとしないところも結構好きだよ。


(嫌い、だけど)


(そばにはいてね)



end


アリエッタの泣き顔が好きなドSシンク。

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