05/12の日記

16:51
TOA 導師
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七番目。
それは"導師イオン"という役割ができる前までの僕の呼称。
理由はなんてことない。僕が七番目に造られたイオンレプリカだから。ただそれだけのこと。

…どうして突拍子もなくこんな話をするのかって?
これも実は単純な理由からくるもので。
昨日アニスが「七ってすごく縁起がいい数字なんですよ!ラッキーセブンってよく言うでしょう?」と言っていたからだ。
彼女がそう言った理由は昨日ケセドニアを視察にいった際、丁度屋台で籤引きが行われていたからだと思う。当たったら無償でグミセットをプレゼントだとそこの店主が声を張り上げ、客寄せをしていた。
そしてその時のくじの当たり数も、確か七であった。
それを聞くと人混みから僕を守るように立ってくれていたアニスが「ほらイオン様、私の言った通りだったでしょう?」と得意げに笑う。それに対し僕は「そうですね。アニスの言う通りでした」と同じく笑いながら言葉を返した。

成る程。七とはそんなに縁起の良い数字なのか。
そう考えると僕が七体のイオンレプリカ達の中から選ばれた理由も不思議と合点がいく。
まあ、実際は彼が一番新しく造られたレプリカであったため、一番導師に近しい能力があったというだけのことなのだが、それでは何だか納得がいかなかったのだ。
所謂逃げというやつである。能力の優劣によって生死を左右させられるだなんて、正直イオンにとってそれはプレッシャー以外の何物でもない。


「…ラッキーセブン、か」

能力が自分より劣っていたから。
ただそれだけの理由でザレッホ火山の火口に生きたまま投げ込まれ、処分されてしまった僕と同じレプリカ達。
そんな中で僕だけが生かされ、こうしてモースに利用されている。
…そして僕も所詮は、若くして亡くなった導師の代わり玉でしかない。
恐らく僕が死んでもまた代わりのレプリカが造られるのだろう。
そう、今度は八番目のイオンレプリカが"導師イオン"へと成り代わるのだ。

僕が生きた証という証を、何もかも消し去って。


…なんだ、結局七という数字は関係ないんじゃないか。

そう考えたら不思議と胸が痛んだ気がした。



( アンラッキーな七番目 )




end



本編中で「僕もシンクも、誰かの代わりは嫌だったんです。だからこそ僕は感情を殺した。そしてシンクは生まれたことを呪った」的なことを言っていたのがやけに印象的でした。
というかイオンもシンクもまだ二歳だったのよね…
なんて短い生涯なんだろう。

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