05/07の日記

16:11
TOV×TOA 元騎士+聖なる焔の光
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先程からエステリーゼは落ち着きなくそわそわとしていた。
その上、恐らく無自覚であろうが翡翠の瞳からは隠しきれない困惑の色が見え隠れしている。
そして何かを確認するようにそちらを見た後には必ず、問い掛けるような視線をユーリへと向けるのだ。それを何度も何度も繰り返している。
そしてその度に分からないとでもいう風にユーリは首を横に振った。

エステリーゼが云わんとしていることは容易に分かる。…分かりはするが、生憎とユーリはその答えを持ち合わせていないのだ。
寧ろこちらが聞きたいくらいだとユーリは悩ましげに溜め息を吐き、その元凶へと視線を向けた。




「……な、なあ、ユーリ」

ぼそぼそと突然背後から聞き覚えのある、しかしいつも聞くそれとは違う不安げな声が聞こえた。
一体何事かと思い、振り返ると夕日に透けるような朱色の髪を持つ青年が情けなく眉を八の字に下げて立っていた。いつもの明るい笑顔とは対照的なその表情に、ユーリは思わずぎょっとする。


「どうしたルーク?腹でも痛いのか?」
「……違う、んだけど、その、」
「?…はっきり言えよ。意味分かんねえぞ?」
「………あの、さ」
「ああ」
「っ、お前…ガイが……好き、なのか?」

翡翠の瞳が真っ直ぐにじっとこちらを見つめてくる。
不安げな表情とは裏腹に、その瞳の色は強い光を帯びていた。
…巫山戯たりせずに真面目に答えろということか。ユーリは半ば本能的に解釈する。


「…ふーん、あいつガイって言うのか」
「え…あ、うん」
「それと…オレなんかよりも余程エステルのほうが熱い目線向けてたと思うんだけど」
「……女の子にモテるのはいつものことなんだ。もう慣れた」

それこそ最初の内は嫉妬ばかりしていたけれど、最近では見て見ぬふりをしている。
そうでもしなければ身が持たないということに気が付いたのは、一体いつ頃のことだったか。


「だってあいつ…新しい街に行く度に女の子達から影で目ぇ付けられてるんだぜ?そんなことでいちいち嫉妬してたら多分、俺ストレスで死んじゃうよ」
「………あー、成る程。やっぱしあの顔は女ウケいいのか」
「へ?やっぱしって…?」
「いや、こっちの話だから気にすんな。で……どうしてオレがその、ガイって奴に好意を持ってるのかをわざわざ聞きに来たわけ?」

そういうのにはもう、慣れたんじゃなかったのか?
にい、と紫紺の眼を細めて艶やかにユーリは微笑む。
ユーリ・ローウェルという青年は見てくれだけならば正しく繊細で可憐な女性の造形をしているので、正直に言うと、その表情は全く冗談にならない。
その証拠として、一瞬ユーリに見蕩れ呆けてしまったルークはいい例なのであろう。


「…っだって、ユーリってあんまり他人に関心を寄せたりしなさそうだし」
「うん、お前の言う通り滅多なことがなきゃ他人に興味は持たないな」
「………………それって…やっぱり!」
「……おいおい、勘違いすんなよ?オレがガイをずっとガン見してたのは、奴がオレの親友に顔が瓜二つだったからだ」
「へ?」
「ガキのころからよーく見ていた顔が見慣れない服を着てこの船をうろついていたんでね、どうも気になっちまって」
「え?」
「…まあ、つまりはあれだ。全部お前の勘違い」

そう言うとユーリは先程とは対照的な悪戯っ子のような笑顔をルークに向ける。
しかし当のルークは混乱したように何度かぱちぱちと大きな瞳を瞬かせた後、ようやく己の失態を理解したのかみるみる内に端整な顔が赤く染め上がった。


「うっ嘘、え、えええ!!」
「…ぷっ、あはは!お前、可愛いなあ」
「なんだよ俺!ただの勘違い野郎じゃないかあっ!!!」
「…因みに、エステルがガイを見まくってたのもオレと同じ理由だと思うぜ?」
「っ、うわあああ!!!!」
「ははっ、本当に初だなあ……っつーかエステルといい、王族は皆そうなのかねえ」

耳まで真っ赤に染まったルークに追い打ちをかけるようにユーリはズバズバと言葉の槍を降らせる。
ルークは羞恥のあまり半ば涙目になりながらもユーリの猛攻に対しては奇声を上げ、反応し続けたという。


二人を乗せた船がまるで嘲笑うかのように大きく汽笛を鳴らした。




end


設定的にはマイソロ2で。まあ、プレイはしていないのですが。←←←

因みに私はユーリとルークが一緒にいるだけではあはあします。可愛い。

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