時破りの呪術王

□召喚編
2ページ/5ページ

会いたい。
会いたい。
会いたい。
会いたい。
会いたいんだ……君に。

どうしても…どうしても会いたいんだ。

世界の理がソレを許さないというのなら…こんな世界などいらない。
君にまた合えるなら僕は……どんな罪でも背負おう。
だから…。
だから……。

大地に魔方陣を刻む。
とても大きな魔方陣だ。
石を置き…臓物を備え…そして血を捧げる……。

神よ。
邪神よ…。
こんな世界など壊してくれ。

呪文を唱え、印を組み……儀式は進む。
この愚かな世界など破壊して…僕は君の元へ行こう。
僕は………。

どくんっ

何かが体内を駆け巡った。

どくんっ


どくんっ


どくんっ


体が熱を持ち始め……溢れかえるような……立ってなどいられない、膝をつき……体を抱え……。


ちりっ


炎が…辺りに満ちた。
僕の丁度真上……空が歪んで見える……違う…空間が歪んでいる…。
空間の向こう側から…何かが降りてきた。
白くて…赤い…何かが。
僕は手を伸ばした。
救いを求めるように。
いや…救いを求めて手を伸ばした。

空間の歪み越しに……手が触れた。

ぬっ…とそれは空間の歪みを抜けて…どさっと僕の上に落ちてきた。
白い髪に浅黒い肌の…人間?

彼はとっさに僕から距離を取り、キッと睨みつける。

「ちっ……人間か」

「君は……」

「ロキ…の名ぐらい知ってんだろっ……っぅ……」

彼はそういうだけ言うとその場に倒れこんだ。
見れば酷い傷だ。
そして驚いた事に『彼』ではなく『彼女』だったらしい。

そういやぁ神様に性別などあってないモノなのかもしれない気がする。

何故か力が抜けてしまい、僕は彼女を家へ連れ帰ることにした。
苦しみからはどうやらまだ…開放されないらしい。
姿現しで家の前まで行き、扉を開ける。
今は夜だ…この時間ならあの子も眠っているだろう。

僕は彼女をベッドへと寝かせた。
一応傷の手当もしておこうか……。
邪神ロキ……北欧神話に出てくる悪戯好きの神…だったはず…。
神々の黄昏(ラグナロク)の引き金を引いた人物だったか…。

神々の黄昏(ラグナロク)…か。

そんな事を思いながら僕は彼女の手当てを済ませ…ふと、明日ブラッティナが薬を取りに来るのを思い出した。
今から用意すれば間に合うか……。
あぁ、確かいくつか薬品が切れていたはず…明日買いに行かないと………。


大丈夫…。
分かっているよ……。
分かっている。

時々感情のコントロールが出来なくなるんだ。

大丈夫…。
分かっているよ……。
分かっている。

僕は……。





狂っているんだ。





スリザリンだから。
[2]

創設者の親世代話ってありなのだろうか?
とりあえず書いちゃえ!
[2009.11.3]

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ