アサガオ

□本能
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ねぇ、わたしだけを見てよ
眼の奥に潜む狂気
その心で感じ取って頂戴






本能








「う、あぁ…!!」



薄暗い部屋、漏れる吐息
なんて、美しいの?わたしは興奮した
赤い色
悶えるあなた、微笑むわたし




「あ、ああぁあ…、も、やめ、て…くださ、……っ」

「まだ、まだだよ」

「痛い…いたい、です……!!」

「知って、る」



そしてもう一度振り下ろす




あなたにとって、
わたしは遊びだったことくらい、知ってる
あなたには、
他に遊べる女の子がたくさん居たことも、知ってる
それでもずっと一緒にいたかった
他の誰よりも、あなたとの時間を共用して、いたかった

だって わたしは あなた の こと
あいしてる から





「いや、いやだぁ…死にたく、な いぃぃ…」

「あいしてる、わ ランボ」

「いた、いたいよぉ……」

「ランボ、 あいしてる あいしてるの」

「うあ"、ぁぁ、あ…っ……×××ぁ…っ あ」

「らん、ぼ?」





驚いた
まさか、わたしの名前を 最期に、呼んでくれる なんて
わたしはランボの頬に軽く触れた
まだ、あたたかかった
叫び声が止んで、辺りに静寂が響いた(外でクラクションの音が少し、聞こえた)
身体を滅多刺しにされたランボ
わたしも、ランボも血まみれだった




「ね、ぇ…もう、…しんじゃった、の…?」




まだ少し、開かれた口からは、
今にも言葉を発しそうなの、に(またわたしの名前を呼んで、なんて もう、言えない)
恐怖に開かれた目は、
霞んだわたしが、映って る
でも、その表情が、なんとなく微笑んでいるように、見えたなんて
そんなこと思ったわたしは、少し、都合が良すぎるかし、ら

馬乗りになっていたわたしは、ランボの身体から離れて、隣に座った
体育座りになって、ランボの血が付いた、ナイフを眺めた
それを少し舐めてみた
まだ、微かにあたたかかった







「こんなにも あいしてるのに なんで とどかないんだろう、ね」

「ゆるせなかった くやしかった」

「あなたが ほかのこと からだを かさねてた」

「わたしだけ を みれば いい のに」

「あなたは ただ ほほえんで た」

「それ が かなし かった」

「ほんとうは だれ より も かなしかった のは あなた なのに」

「その ひとみに わたし は うつって ました か ?」





床に倒れたままのあなたに、わたしは静かにキスをする
あなたの唇は、もう、微かに冷たくなっていた





「あいして ました  あなた だけ を」





あなたの血がついたナイフを大きく振りかざした
目の前が赤くなる
あなたの顔が遠くなる






遠のいてくる、意識の中



確かに


あなた の


やさしい

えがお が







みえ た



END.

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