銀沖銀高中心短編
□姫君の誕生日
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俺は頓所を飛び出した。
めざすは歌舞伎町。
走って走って万事屋の階段を上がる。
チャイムは壊れているからと前に貰った鍵を差し込んで玄関を開けた。
カラカラと玄関を開けるとやっぱり旦那の靴もついでにチャイナの靴もない。
俺はそれでも諦められなくてリビングにと歩いていく。
…ガランとしたリビング。
いつも旦那が座っているソファーにと座る。
…合い鍵の鈴がちりんとなった。
「なんでいないんですかぃ。」
…旦那俺、今日誕生日なんですぜ。
「…一言でいいんでさぁ。」
一言でいい、旦那の声で言ってもらいたい。
…ただ、一言。
俺の瞳から涙が零れた。
…くん、沖田くん?。
…誰かが呼んでる?。
俺は重たい瞼を開けた。
…え?。
「旦那?。」
「うん、沖田くんの銀さんだよ。」