銀沖銀高中心短編

□絆
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…俺は敗北という二文字を信じたくなかった。


『絆』


攘夷戦争、それは俺から大切な師を失ったばかりでなく。


…大切な人までも。


「なんでだよ!。」


俺は思わず声を荒げた。


廃寺には生き残った仲間が深刻な顔をしていた。


「そんな、明日負けを認めるなんて。」


日に日に消えていく仲間の命の火、増えていく敵の数、天人達は新しい武器で次々に乗り込んで来る。


幕府は早々に白旗をあげた。


…天人にしっぽをふり、いいなりになる情けない武士。


俺はそんな情けない武士にはなりたくない、絶対だ。


…なのに。


「…晋助、気持ちはわかる、俺だって白旗なんてあげたくない、だがな、もう限界なんだ、それは貴様にもわかるだろう。」


「…そんなの!。」


解りたくない、解りたくなんかない。


「小太郎も辛いんじゃ。」
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