銀沖銀高中心短編
□たとえ報われない想いでも…。
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これが恋というものならば…。
こんなに苦しいのならば…。
『たとえ報われない想いでも…。』
こんな気持ちは初めてで拙者には理解できなかった。
…刀を合わせたものだけが分かるあやつの魅力。
…白夜叉、坂田銀時。
拙者は今宵もあやつを考えながら弦を鳴らした。
題名をつけるなら焦燥感とでも名付けようか。
窓辺からは綺麗な月が見えていた。
「…ここにいたのか。」
「晋助。」
振り向くと晋助が立っていた。
「…何か用でござるか?。」
そうは言いながらも拙者は弦を引くのを止めない、晋助のほうを見ようともしない。
「出かけてくる。」
晋助はそう言ってまた部屋を出ていった。
…出かけてくるでござるか。
行き先など聞かなくても分かっている、晋助の向かう場所は一つしかない。