銀沖銀高中心短編
□素直にILOVEYOU
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夏の匂いを探して…。
『素直に…』
見知らぬ街をただ俺は歩いている。
江戸よりこっちのほうがなんとなく涼しい気がする。
…別に会う約束などしていたわけではない。
けど、足が勝手に駅にと向かいなけなしの金で切符を買っていた。
「あー、あちぃ。」
江戸よりは涼しいがやはり夏は夏、俺は手元の小銭を数えて手短な喫茶店に入った。
『いらっしゃいませ』
江戸とは少し違うイントネーションにここが京なんだと実感できた。
俺はあんみつを頼んで奥の席に座った。
なかなか眺めのいい店で外の喧騒がまる見えだ。
…俺は一体何をしにきたんだろう。
高い金払って京まできて会えないまま帰るのか。
けど、あいつのいる場所なんか知らないし、ヅラにでも聞いてくればよかったかな。
そんなことを考えて窓の外を見ると…。