Silver Soul+

□俺がミントンをやめられない理由
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「はぁ…」


思わずついた溜め息は存外重い。

誕生日すら絶妙な地味さで過ぎていく。
それは良い、

それは良い、けれども。




脳裏に浮かぶ上司の顔が、離れてくれない。


一番に
祝って貰いたかったなんて
口が裂けても言わないけれど。

なんか今日は非番らしくて、俺が密かに探した時には、既に外へ出た後らしくて。


好きだ、といえば確かにそうだ。
だけどそんなモンじゃない

この気持ちは
きっと、大切だという、そんな感情の方が強いのだ。


付いていくと、決めた人。

あの人の為ならば
きっと何だって出来るだろう。


だからこそ―



「おい山崎、何してやがんだ」

「あ、副長」

振り向いた俺の後ろに居たのは、今俺の悩内の9割を占める副長だった。
(ちなみにあとの一割はミントンだ)


「あ、お前そういえば」



なんですか?
と聞いた俺の声が響いたのと、副長が右手に持ってた大きめの包みを俺の目の前に差し出したのはほぼ同時。


「…なんですコレ」

「開けてみろや」

「俺が開けるんですか?」

「他に誰が開けんだよ、良いから早くしろ」

殴るぞコラという理不尽な脅しはサラリと聞き流して、俺は副長から半ば強引に渡された包みを、少し躊躇いながら開けた。



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