Silver Soul+

□宵月は未だ高く
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悪夢。
これで何回目だろうか。

夜、隣で眠るコイツの
うなされる声。


その度に、少しだけ慌てて
コイツを起こす。


「あ…ごめん、…また、だった?」

「あァ、まぁな」


あちゃーとか言って
力無く苦笑する銀時。


「わりィな、…大丈夫だから」

「銀…」

ワザとらしく言ったって、いつもの様には流せない。


大丈夫な奴の目に、涙が溜まる訳があるか。


「ホント大丈夫。もうヘーキ。だから寝て良いよ」


自然眉間に皺がよる俺の顔を見たからだろう。
銀時は大丈夫と繰り返して俺を寝るように促す。

だが俺は素直に従う事は出来なかった。


…テメェのそんな面、見せられて俺が平気でいられる訳ねェだろ。クソ天パ。

って、言ってやりたかったけど。
それは、今のコイツには言わず、俺は無言でむくりと起き上がった。



「あ?どしたの大串く…ん」


少しだけ悔しいが。


「ねぇ、…ちょ、え、おい…」




お前のその面は見たくねェから。


「土…方…」


俺はそっとこいつの上に覆いかぶさる。

そして、出来る限り優しく口付けて、抱きしめる。

「ん…、土方…?」

俺は答えずに、代わりにまた口付ける。
そして更に強く抱きしめてやる。

「ちょ…おい、苦しい…」



「…銀時、」


「…」


俺がそうやって耳元で囁けば、呪文の様に銀時は静かになる。

俺の言葉を聞く為に。



「…辛いか」


「…」

強く抱きしめているから、銀時の顔は見えない。
それでも俺は続けた。


「沢山の奴を斬り捨てて、沢山の奴の血を浴びた」

「…」

体が僅かに震える。



「…失うのが、怖いか」

「…」

俺には、銀時の声にならない気持ちは、分かってやれない。


けどだからこそ、伝えたい。
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