Silver Soul+

□ある晴れた春の日
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「…今日、仕事終わったら逢いに行く」


「え?マジ?」


「…なんだよ嬉しくねェのか?」

余りにも唐突だったものだから、嬉しいのに、上手く言えなかったのが嫌そうに聞こえたらしい。

そんな事、絶対無いのにさ。

「違う違う。ただ驚いただけ。本当に来てくれんの?」


「俺が嘘言った事あるかよ…」

「うん、いっぱい」

「言ってねェし、さもホントっぽく即答すんの止めろコラ」


色々ぶち壊しじゃねーか、とかブツブツ文句を言う土方。

その顔が若干赤いのにはコイツ気付いていないんだろう。

そんな顔も愛しくみえる、
俺はもう末期だと思う。


それでもきっと、俺の気持ちは変わらない自信があるけど。


「わりィわりィ。楽しみにしてっから」

「ああ」



んじゃあな。と言って土方は俺に背を向け歩き出した。


…ああ、もう行っちゃうのか。
そうだよな、忙しいもん。仕方ない。


仕方ない、

けどさ、土方。



少し


少しだけ、我が儘な銀さんになっていい?

















俺は少しずつ遠くなる土方を見て、








不意にその背に向かって走りだした。









ぎゅっ











「おわっ!……銀…時?」








「…ホント、楽しみにしてんよ、大串くん」




後ろから抱き着きながら、焦る土方を見て、俺は心の中でガッツポーズ。

そしてパッと手を離して、
素早く元来た道へ駆け出した。

「なっ……」


何も言えない土方を残して。



これ正しく、
してやったり。























「……大串くんじゃねェエェエェェ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」










春なのに何故か体が暑くて
思わず見上げた太陽は、まだ沈むには元気過ぎたが。


俺の顔がどうしようもなく緩んだのは
河原に響いた声のせい。

















―おい、お天道サン

今日だけ
早く沈んでくんねェ?











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初土銀。
ほのぼのを描きたかったけど見事に失敗。
愛だけ無駄に篭ってます。
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