Silver Soul+

□ある晴れた春の日
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春の風が吹く暖かい日。

気付けば広い河原に来ていた。
平日昼間だって言うのに、カップルやらが点々と座ってイチャコラしてる。



……
別になんとも思わねーよ?

忙しいからしゃーない。
アイツはそう言うヤツだから。

対する俺はかなり暇してる訳。


だから今日だって、これといって何も用は無いのだけど、何となくフラリと外に出てみた。

空が青かったから、なんて言ったら、アイツは馬鹿にしたように笑うだろう。

悔しいが、
俺が大好きで、凄ェ大切で、一緒に居ると、何でか温かい、アイツ。

真撰組の副長なんてやってるから普段から瞳孔開きっぱなしなのに、笑ったらメチャクチャ良い顔しやがって。

あぁ俺、好きなんだな、やっぱり。

そんな事考えてたら、聞こえて来たんだ、

「おい、銀時!」

クソくれェ大好きな声。


「よォ」


あぁ、自然に声が軽く出る。ついでに体も軽くなる。

視界が一気に明るく見える。


「パトロール中?」

「あァ、一応な」


本当はもっと話していたいけど


「そっか、んじゃ頑張れ」

邪魔しちゃ悪いから、少し寂しかったが、ここは素直に帰ろうと思って土方に背を向けた。
別に良いんだ。用なんか更々無ェ。
一つだけ、強いて言うなら

「オイ、待て、俺はテメェに逢いに来た」

「は?」

何言ってんの大串くん。
いや、嬉しいよ?うん、嬉しいけどさ

「悪ィかよ」

あぁそのちょっと機嫌が悪い顔良いかも。
いやいや違う違う、そうじゃねェけどさ。

そうじゃなくてさ、

「俺もな、」

なんでお前はいつも、
俺の言いたい事先に言っちゃうかな。


「テメェに逢いに来たんだよ」


先に言われたのが悔しくて
でも先に言ってくれたのが嬉しくて

「銀時、」


そう言ってコイツは俺を抱き締める。
いつも仄かに匂う煙草の匂いがいつもより強く感じられて、くらくらしてくるんだ。


「済まねェ、暫く逢えなくて」

俺は完全に、テメェに酔ったらしい。

「全ー然大丈夫、なつもり」

そう言ったのはせめてもの強がりで

「はっ、そーかよ」

そんな声で怪しく笑って、ああそんな顔も良いなぁ、なんて呑気に思ってたら、
噛み付くようなキスをされた。

「…ん…土方」
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