Haruna*Abe
□皇子様と僕 裁判編
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古代エジプト。
照りつける太陽の下、さまざまな部族が勢力争いを繰り返していた。
ムサシノ族の戦士アキマルは息を切らせて馬を駈けてきた伝令から戦況をきかされた。
敵が動きだした。すぐさま迎えうたなくてはいけない。
「わかった。皇子に伝える!」
アキマルは風を切って自らの馬で駆けだした。
彼は皇子ハルナと幼い頃からともに成長した。
ハルナがもっとも心を許している存在であり、身分を越えてハルナに意見できる特別の存在だ。
皇子ハルナがいる野営テントがぐんぐんと近づいてくる。
アキマルは馬から飛び降りると、テントのなかに叫びながら飛び込んだ。
まぶしい外から薄暗いテントにはいるとなかの様子がまるで見えない。
「ハルナ!! 敵が動いた! すぐさま出陣だ!」
「なに!? わかった!」
ハッとしてハルナがアキマルの方を向く。
だが、鋭い瞳をしたハルナは真剣な顔でこちらを見据えていった。
「 これ終わったらいくからな。ちょっと待ってろ!」
「なに? なにが終わったら?」
その瞬間、アキマルはテントのなかにもう1人、人間がいることに気づいた。
飛び込んできた入口の布の隙間から差す光でぼんやり照らし出された姿。
ハルナの身体とベットの間に挟まれて、驚いたように目を大きく開いている少年の姿。
「……モトキさん、出陣…」
そんな声も耳に入らないのか愉悦に浸った笑みで腰を激しく動かしはじめるハルナ。
「ちょ…待って! ま…ぁああ!!」
アキマルはそれ以上、いられなくてテントの外にでた。
背後では少年の高く裏返った声が響いてくる。
フルフルとアキマルの手が震えた。
「だから…だから戦場に愛妾を連れてくるなっていったんだーーーー!!!!」
祖国を憂うアキマルの気持ちは、むなしく虚空に消えてゆくのだった。
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ハルナ皇子には正室以外に16人の側室がいます。全員女性です。
男の子で側室になったのはタカヤだけです。タカヤはニシウラ族からの戦利品です(おい)
ツルペタで身分もないのに溺愛されるのはお約束です(をい)