Other*

□junk*
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*栄は千とじゃれ水は泣く+阿部*

穏やかな昼休み。中庭の日のあたるベンチで栄口と篠岡が座って話しをしていた。

「栄口君も阿部君も、私とおんなじ中学だったんだね」
「本当だね。でもこの高校に入らなかったら、出会えてなかったようなものだよね」
「うん……あ、ねえ聞いて。阿部君たら私が同中だったこと、このあいだまで知らなかったんだって。私、同じ受験組だったのに、なんの印象も持ってなかったみたい」

篠岡がふしゅっと苦笑いする。

「あはは、阿部は興味あるとこしか考えないからなぁ……あっ、と、別に篠岡に興味がないからとかじゃないよ!なんていうか…」
「いーよ、気にしないで。私も阿部君のことわかるもん」

篠岡が笑う。

「そっか」
「うん。関心あることにはすごいけどね。三橋君のこととか」
「ああ、あれは普通じゃないな。捕手だから投手を一番に考えてるのはわかるけど、あれはちょっとすごいよな」
「ねー」
「阿部隆也の…」
「え?」
「阿部隆也の80%は三橋廉で出来ています。残りの10%は高校野球、後の10%は家族の愛から出来ています」
「そう!そんな感じだね」
「でしょう?」



と、ここはベンチのすぐ後ろの茂の陰。


「ちっ、栄口のヤツ、人をネタにしていちゃついてるんじゃねーよ」
「…ひどいゃ…」
「うお!!?びびった…水谷いつの間にいんだよ?」
「篠岡も栄口もオレのこと忘れて二人だけで楽しんでるし、阿部は阿部で三橋のことしか考えてないしーー」
「ウゼッ泣くな!」
「オ、オレはいま世界の中心で孤独を叫んでいるんだよー」
「え?ここ、世界の中心なの…?」
*************

*キモベ、黒栄口注意報発令中*

栄口と千代がいるベンチ(その後ろに阿部と水谷がひそんでいる)へ、三橋が、彼にしてはめずらしく、たんぽぽ満開スマイルでかけよってきた。

「阿部君聞いて!昨日ハマちゃんとゲーセンに行って成分占いをやったんだけど…」

「阿部君…?」
千代が不思議そうな顔をする。
「ここにはいないけど…」
栄口もあたりをキョロキョロみまわしながらいう。
だが、

「ここにいるぜ?!」

ガサッ、と音をたてて颯爽と茂から出てくる阿部隆也。バックにはキラキラな星まで散っている。……といってもこの星は三橋にしかみえない魔法の特殊効果だ。

「阿部、君!」

はわわわわぁん……

(カッコイイ・なっ)

「よう!オレのトゥインクル・ベイビィ。ちゃんと昼メシ喰ってきたか?デザートにはオレのチェルシーキッスが待ってるぜ☆」


「チェルシー?」
怪訝な顔をする栄口に篠岡はうつむいて、
「…阿部君が持ってるキャンディのチェルシーから好きな味を三橋君に選ばせてね、それ食べながら……あの、その」
「あ、なんか予想ついたよ…いいよ、篠岡、無理にいわなくて」
「ん。三橋君が元気そうだから私も監督には報告してないんだけど」
「うん…でも、伝えるものでもないんだろうけど、黙認してるのも勇気がいるね」


と、阿部のキラキラの後ろから水谷が、どーもー、と出てきた。

「うわっ水谷までいたのか?!」
「実はいたんだよ」
ちょとすねたような水谷の目元がほんのり赤い。

「水谷君、なんか嫌なことあったの?」
篠岡が男の子にそういうことを聞いていいのかと心配しながらも尋ねた。
「あ…ううん…いやその大丈夫だよ」
「そう…なの?」
「うん、本当全然ダイジョーブ」
「そんな顔でいわれても説得力ゼロ」

ドシュッ

「栄口、心が痛いよ」
「うん、痛いとこついたから」
「今日の勇人は黒栄口」
「黒くないよ、いつもこれ普通じゃない」
「意外とはっきりしてるんだよね…」
「副部長ですから」

そんな三人の後ろで阿部がちょっとはりきって三橋の占い結果を読み上げた。

「え〜なになに、三橋の96%は高校野球で出来ています。3%は阿部隆也で出来ています。残りの1%は青春ラインで出来ています」

「うぇひひっ すごいでしょ?オレ、野球の次に阿部君が多いんだ、よvv
……あれ、阿部君どうして泣いてるの?」

頭をかいぐりかいぐりしてくれると思っていた三橋は阿部の瞳からつたう涙に驚いた。

「……そりゃ80%と3%じゃねぇ」

栄口が腕を組んでしみじみと呟く。

「やっぱ、今日の勇人は黒栄口だ…!」

水谷の言葉に千代は苦笑いをするしかなかった。

*いつか書きたいパロディ*

三橋と榛名が阿部をめぐって(なぜか)巨大ロボを召喚し埼玉上空で仁義なき大バトル。(なぜか)ロボット好きな栄口は超興奮、篠岡と水谷に生暖かく見守られる。訳わかんないうちにマドンナにさせられた阿部は花井に泣きつく。三橋を援護するのはロボット基地で情報分析をする叶と(無理矢理付き合わされてる)織田。榛名陣営にいるのは、「勝手にやってよ」と醒めた秋丸。この展開にとりあえずとまどう加具山(「え?おお振りって高校野球漫画じゃなかったっけ??」)。栄口ほどマニアックな喜びかたではないが、スゲー!と楽しむ田島様は涼しげに東京タワーの上から観戦。巣山・沖・西広は小さい頃観ていた戦隊ロボの話しに花が咲く。


そのころ、西浦校のグランドにはモモカンと泉しかおらず−−
練習が始められなくて怒り心頭のモモカンの隣で祈るようにみんなが来ることを願っている泉は、いままさに埼玉史上最大の危機が迫っていることなど、露ほども知らなかった。



*ちょっとアブナイ三橋*

西浦のヒヨコ頭エース三橋君は、大事な阿部君がいつか他の人のところに行っちゃうんじゃないかという不安にかられていた。
そこである日、


「あっ べくん ごめ、ね!」


がっしゃぁぁぁぁぁぁん


「んだこりゃぁぁぁ?!こんな古典的な鉄球がついてる足枷なんて!!」
「阿部くん、怪我なかった…?」
「人、拘束しといて泣きそうな顔して心配すんな!」
「ここ擦り傷がある…」
「そりゃこんなことされたらな」

ペロ


「……なに?」(呆然)
「き、傷に黴菌が入らないように。オレ、これから阿部君が傷ついたらいつでも、なめ…る、よ!」
「だから自分で怪我させといて一生懸命な顔するんじゃねえぇぇぇっ」


−−末永くお幸せに

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