Jewelry**
□フリー小説(三阿)
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カレンダーにしるしをつける。
12月11日は阿部くんの誕生日。
大事な日だから丁寧にまる。
それから、隣の12月12日にも、まる。
「……? 12日って何かあったっけ?」
カレンダーを見た阿部くんが、怪訝な顔をして聞いてくる。
「ナンにも、ナイ、よっ」
「は? 丸してあるじゃん」
隣合わせの11日のしるしを見て「……間違えたのか?」って、言うけど……その日は間違えないよ。
「あの、ね、『1』と『2』が、並んでる、カラ…」
「……そーいや、オマエ前もンなこと言ってたな…」
だったら、1月2日とか1月21日とか2月12日とか……いっぱいあんじゃねェの? って、阿部くん。
「うん、でも、オレ…この日がスキだ」
阿部くんの誕生日の次の日だし──1・2・1・2って、ちゃんと二人で一緒に歩いて行ってるみたいな。
二人で、足並みを揃えて前に進んで行くみたいだから……
そうゆったら、阿部くんは一度ぽかぁんと口とか目を見開いたあとで、くるりと後ろを向いてしまった。
「……阿部くん?」
何にも言わないケド、背中を向けた阿部くんの耳が赤い。
「……うひ」
「…何笑ってんだよ」
「ナンでも、ナイよ、っ」
かわいいなんてゆったらきっと怒られるから──でも、つい笑みがもれる。
「………ふひ、えへ」
「…三橋……オマエなぁ」
ゆっくりと振り返る──機嫌の悪い低い声。
眉間にシワ、つり上がった眉、据わった目。
お、怒られるっ!
「ご、ゴメンなさ…っ」
怒られる、キラワレる。
……オレなんか、が、調子にのって…っ、阿部くんのコト、『かわいい』だなんて……
阿部くんは男なのに、ちゃんと頭も良くてカッコいいのに
でも、照れて困った表情がかわいいくて、たまにしか見せてくれない笑った顔は、瞳の光がやわらかくて優しくて、もっとすごくかわいい……じゃなくてっ!
首をすくめて目をギュッと塞ぐ。
きっと『ウメボシ』されるから
ゴメンなさい。
『ウメボシ』されるのは痛いしコワイ。
でも、それはへいき。
かまわない。
それよりも頭の中で、阿部くんの目が冷たい光を宿したトコロを描いて身体が硬く強ばる。
ゴメンね。あべくん。
だけど、キライにならないでオレのコト──
硬直していたオレを溶かすように、フニャッとあったかいものが──くちびるにふれる。
……それは、すぐに離れてしまったけれど。
「あ、あ、あ…あべ、くん!?」
まぶたを開ければ、目の前には、ちょっと気まずい表情に似た……困ったような、照れくさそうな阿部くんの顔。
「……何? みはし」
柔らかな、声。
「い、いま…っ、今あべくん…っ」
「だから……何?」
やわらかな瞳で、笑う。
1人で勝手に硬まっていたオレを溶かしてしまう。
「あ、べくん……いま…オレに……」
したよね。キス。
「うん…、何か……したくなったから」
それは、ふんわりとした笑顔で……
「阿部くんっ」
「え、何?」
オレが急に阿部くんの肩を掴んだから、びっくりした顔してる。
「も、もういっかい!」
「は?」
「──キモチいいカラ、もう、いっかいして、ホシイ、ですっ」
「───ッ!!」
しねェよッ!! バカ!
って、真っ赤になった阿部くんに怒鳴られて、『ウメボシ』された……。
あの、ね…阿部くん。
オレ…『ウメボシ』されるのは、へいきだし……かまわないンだ、ケド……。
あのね
やっぱり痛い、よ。
end
20081212 かすがはるひ
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『混ぜるな危険。』様で某日決行されました、ミハベチャットに参加して参りまして、その勢いに乗ってまたも素敵小説を頂いてきました!ふほほ〜いvvv
12/12にこだわる三橋。阿部の誕生日に丁寧にまるを描くのも、想いが伝わってきますが、その隣の12日にもまるを描く三橋が愛おしいです**
三橋が阿部の優しい笑顔を想像しているところで、私も撃沈しました←
そうだ、阿部だって優しい笑顔をみせるときがあるんだ!改めて気づかせてもらいました(>///<)
そして、阿部からのキッスに心がドキュンコされました…!!きっと、きっとぐるぐるして縮まっちゃった三橋はものすごく可愛かったんだ!阿部さんの視点からみた三橋を想像すると本当に、私の理性も持ちません(あなたの理性はどうでもよろしい)
やっぱり『ウメボシ』に到達してしまう、ミハベ万歳。照れ屋なアベベにこれからもアタックしてください三橋!
はるひさん、またも素敵なフリー小説を書いてくださってありがとうございます!ミハベww読んでいてあったかい気持ちになりました。そしてにやけが止まりません。はるひさんは、心のなかのミハベの灯台です(^ワ^*)