Jewelry**

□フリー小説(利迅)
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その溢れ出てしまいそうなものは?
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(君を抱き締めたくなったあの日から)


(オレの心臓は破裂しそうなんだ)






今日の天気はあいにくの雨模様。でもそれはオレの心を映しているかのようで。思わずため息が出る、今日で何回目だろうか。バシャバシャと水が跳ねる道をひたすら歩く。




「りーおっ」


「うわぁっ!!」


前に傾けていた傘の下から迅の顔がひょっこり現れて、思わず声をあげた。




「…そんなに驚いた?」


「えっ!?いやっその…」


「今日は一段とおかしいよ?利央」


「うぅ…」


頭の上にハテナマークを浮かべた迅がオレの顔を下から覗き込む。




(ギャー顔近いっ!!ヤバいって!!つか上目遣いでオレを見ないでーっ!!)


心拍数が一気にあがる。心臓の音が脳に響き、顔が痛いくらい熱くなる。きっと頭から湯気が出ているに違いない。




「ほっほんと何でもないからっ!!いいいつもどーりだよ!!」


「そぉか?」


「うんそう!!いつもどーりいつもどーりっ!!」


未だ覗き込むように見る迅を何とか納得させ、とりあえず離れるように促した。


それからはいつも通りの会話をしながら学校への道を進んだ。今日朝練なかったねとか、雨続いてるねとか、今日の部活は大丈夫かなとか、いつも通り野球中心の会話。こぉいう話をしているときは心臓は正常に動いてくれる。




(さっきのがホント嘘みたい。)


胸にそっと手を当てる。やっぱりいつも通りのリズム、自分の心臓の音だ。

その音に何だかほっとして、強張ってた体の力を抜いた瞬間、がしっと胸に置いていた腕を掴まれた。




「利央っ早く行かないと遅刻するぞっ!!」


「うぇえ!?ちょっ、待って迅っ!!」


迅に引っ張られて、もう制服が濡れようがお構いなしに走らされる。掴まれた腕が熱くなる。また心臓が早いリズムで動き出した。





***





「はぁ…」


何とか遅刻を免れ、自分の席に座って一息つく。無理矢理走らされたため、シャツとズボンは所々色が変わっていた。


ふとさっき掴まれた腕を見る。強く引っ張られたせいか、少し赤くなっていた。でも不思議と不快感はなくて、むしろ、




むしろ愛しく感じた。


迅が、


迅が触れたんだと思うと、また心臓がドキドキした。




(…オレ、マジ変かも)


迅の顔を見るだけでドキドキしたり

迅に触れられただけで体が熱くなったり


こうして迅のそばにいなくても

思い出すだけで

心臓は早鐘状態、破裂寸前。






ねぇ


これは何て病気?


オレは病気なの?




もう破裂してしまいそう。

破裂して、何かが溢れ出てしまいそう。







その溢れ出てしまいそうなものは?




ブルルルっとケータイが震える。メールを知らせるバイブだと気付き、ケータイを開いてそれを見る。迅からのメールだった。




『朝なんか様子おかしかったけど本当に大丈夫か?無理すんなよ。』


たったこれだけの内容なのに、胸がぎゅ〜って締め付けられる感じがして。

もう、あの小さな体を思いっきり抱き締めたくなった。




(きっとそうしたら、溢れ出したものが何なのか)


(わかるのかもしれない)


ピッと返信ボタンを押す。カコカコ鳴るボタンを数回押して送信。ケータイを閉じれば、さっきの赤くなった腕が視界に入る。その部分を指で撫で、そっと唇を寄せた。



END

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快晴ポップコーン
の旭様より相互記念に書いてもらっちゃいました、利迅小説ですー!!
桐青校の一年コンビ、和さんをして和みといわれたあの二人vv

読んでいて、ふわーって雨の匂いを感じて、そんななか登校中に迅にドキドキしている利央のきっと絶対にドギマギして顔しかめたりしているだろう姿が愛しくってしかたありません!
そして、急ぐためにって結構強く腕をつかんじゃう迅の男の子っぽさにキュン。メールまでして心配してくれるのにまたキュン。

知らないうちに迅のぬくもりや感触に引き込まれている利央の熱っぽいセリフもドキドキです…!

旭様、可愛いのに色香が漂うお話を本当にありがとうございましたvvv

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