・オリジナル・町田 ろく
□…にんぎょひめ…
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−−−私は誰?
真っ黒で荒れ狂う海、三本マストの船、
断片的な映像が少女の脳裏を駆け抜けていきました。
−−−わからない。わからない。
自分の名も全て、忘れてしまった少女は口に出さず、混乱するばかり。
−−−わからない。わからない。
何故自分はこんな所にいるのだろう、と、彼女を追いつめていきます。
−−−わからない。わからない。
けれど彼女にはもっとわからない事がありました。
−−−わからない。わからない。
どうしてこの人は、見覚えがあるのだろう。
目の前の優しげな青年を見て、彼女は思いました。