・オリジナル・町田 ろく

□−−山姫−−
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  山姫

   −−赤鬼と青鬼がいた。赤鬼は人と仲良くなりたかった。

  「行くのか?」

   夜の月が高い所にある森でアスラは言った。

  「ああ・・・・森のもっと深くに、人も来ない所がある。そこで暮らすよ」

   月の光の下に美しい女性がいた。
   どこか神々しさのある女性で、長い黒髪で、神子のような装束を纏っていた。
   女性は人ではなかった。アスラもまた人ではなかったが。


   山々の間に里があった。人の住む里が。
   そして山々には昔からいる神々が住んでいた。
   まだ人と神が手を取って生きている時があった。
    しかし、長く続くと思われた事もすぐに終わりがやってきた。。
   山を開き里を広げ人を増やしていくと共に、人々は神達の事を忘れていった。
    けれども、忘れない者等もいた。
    代々、神々を祭っている一族があった。
   その一族に一人の少年がいた。名をスイと言った。
    山に住む神々に一人の少女がいた、人ではない、名をオミと言った。
   二人は仲良く遊ぶような仲だった。
   共に山を巡り、オミはスイを山の不思議な所へ連れていき、
   スイはオミに人の話を聞かせた。
   二人はいつも共にいて、いつも遊んでいた。
    時が過ぎスイもオミも成長した。
    人は山をどんどん切り開いていっていた。

  「オミ、オレ、嫁をもらうことになった」

   ある日突然に、スイはオミに告げた。

  「おめでとう、どんな人なんだい?」
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