・オリジナル・町田 ろく
□−−ふたりあそび−−
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花が咲いていて、蝶の飛び交う花の野に、子供が一人寝っ転がっていた。
人には見えぬ子供故に、アスラは彼に近づいた。
炎の色をした髪と、瞳が春の陽射しで煌めいていた。
ふたりあそび
双子がいた。
片方は人の子、もう片方は鬼の子だった。
仲の良い双子だった。
鬼の子の方は、双子の親にも周りの人間にも見ることができなかった。
ただ双子の片方、人の子だけが鬼の子を見ることができた。
ただ双子の片方、鬼の子は確かに存在していて、二人は双子だった。
二人は常にいっしょだった。いつも二人で遊んでいた。
ある日二人はいつもの遊び場で話した。
「私達ずっといっしょにいようね。」
「うん。」
そう固く約束した。そして以前より二人はいっしょにいるようになった。
周りの人間には一人でいるようにしか見えなかったが。
−−−時は矢のように過ぎていった−−−
人の子は年頃に成長した。
しかし鬼の子は少し成長しただけでまだ子供のままだった。
変わったところといえば小さな角が生えていた。
ついに人の子は嫁に行くことになった。
もう人の子ー彼女は彼ー鬼の子に振り向くことはなかった。
「ボク達はずっといっしょなんだよ。」