小説置き場
□『依存』 執筆中 閲覧は自由
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教室に入ると夕月(ユヅキ)が一人で弁当を食べていた。
色素の薄い髪の毛に白い肌が印象的で、一見女子と見間違ってしまいそうな綺麗な顔をしている彼、桜坂(サクラザカ)夕月は旭のマンションの隣人だ。小学4年の時、夕月が引っ越してきてからは親よりも長く生活を共にしてきたであろう親友でもあった。
旭は背後から夕月に近寄ると、頭にポンッと手を乗せただいま〜と云い、夕月の前の自分の席に着き、横向きにすわり上体を後ろに向けた。
「おかえり、旭。今日は早かった・ね・・ってココどうしたの?」
目をキョトンとさせ、箸を持っている手で器用に指で自分の頬を指す。
「明日から又一緒に飯食えるぞ。」
自嘲交じりの笑顔で言うと、
「また別れたの?」
呆れた顔をして眉根を下げた。
「俺はアイツのこと好きじゃなかったそうだぞ。」
「そう云われたんだ?」
「そ。あ、そのから揚げくれ。」
許可を得ず、勝手に夕月の弁当からから揚げを摘み、頬張る。
「勝手だよな。自分からコクッといてさ・・・。」
「冷たくしたんじゃないの?」
夕月は呆れ果てた顔で頬杖をつき溜め息を吐く。
「ふつーにしてただけ。」
「普通にね・・・。」
何か云いたそうな眼差しで夕月が見つめてくる。その眼差しが何だか居心地が悪く、訝しげな顔をする旭。
「なんだよ?云いたいことあるなら云えよ。」
「否、ただ可哀相だなっと思って。」
「俺が?」
「彼女が。」
「なんで?」
本当に解らないと云った様子で怪訝な顔をする旭を一瞥してから、少し間を空け「解んないならそれでいい。」と、それ以上何も突っ込ませない朗らかな笑顔でかわし、食べかけの弁当を再び食べ始めた。
納得がいかない旭は少しいじけ気味に顔を伏せた。