シリーズ小説
□スタート!!番外編
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「はい、所用が出来まして」
「ふーん。…まぁ、いいけど」
ちらりと左手に収まる携帯に視線を送られ、反射のように握る力を込める。それを見てにやりと笑ったような気がするけれど、左手で口元を覆っていたので実際はよくわからなかった。
「では、机の書類お願い致します。失礼します。」
半歩下がり頭を下げ、元来た道を戻る。素早く机を片付けながら紘太さんにメール返そうと携帯を開いた時、自分でも吃驚するほどに慌てていることに気づいた。数秒止まっていたら、相変わらず扉に寄りかかったままの理事長がわざとらしく手をたたいた。
「あー、今日バレンタインじゃん。なんだ四宮、そうゆう関係で出掛けんの?」
「なっ…!し、知りませんっ」
「知らないっつーことは呼び出されたか?へー、ここに四宮を呼び出す強者がいたとはな」
「理事長っ!私に話しかける暇がありましたら書類に目を通してください!ではいってまいりますのでっ」
ニマニマと理事長が見てきて、居たたまれなくてその勢いで部屋を飛び出した。
「っ…。三神理事長は…。」
バレンタイン。忙しくて、すっかり忘れていた。
紘太さんからメールがきた、というだけで舞い上がっていたのに、さらに浮かれてしまう。そんな、
「バレンタイン…か」