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□こんな筈じゃ無かった
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浜泉。泉独白。
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俺は饒舌だと思われているようだがそれは根本的な間違いだ。俺は心の中の言葉を音にして発するのが苦手な部類の人間だ。思っている事をさらりと伝えられるような格好の良い人間ではない。…特に、奴の前では。
俺は好きも愛してるも奴に伝えた覚えはない。それは心の中で鳴っている言葉なのに、俺は羞恥心やら道徳心やらを過剰に持ち合わせていてそれとは逆の言葉を発してしまう事が多い。でも奴はにっこりと微笑んで俺を俺の全てを受け入れてくれるので俺は好きも愛してるも伝える必要が無くなってしまうのだ。
奴は皆に優しいと思われているがそれも大きな間違いだ。奴は皆に当たり障りの無い対応をしているだけでそれは奴の本当の優しさに触れた事のある俺だけが知っている事でそれは俺だけが知っていればいい事。好きも愛してるも俺だけに与えられる言葉で他の人間が聞く必要はない。
好きだよと言われてお前なんか大嫌いだと応えて愛してると言われてお前なんか死んじまえと応えて、そんな赤い顔で言われても説得力無いよと言われてあぁ俺は顔赤くしてんだと自覚して。
あぁ最悪だと思いつつこんな俺の一面を見るのはこいつだけだからいいかと思いつつ。
俺は奴に堕ちていってる訳です。あぁまったく、こんな筈では無かったのに。
ー終ー