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□Merry White Day
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…この子は……
落胆してしまい、溜息も漏れた。
本当にこの子は何に関しても無頓着で協調性に欠けてて、我道を進みまくってるよなぁ〜。
しかも、我儘だし。
決して口に出せないことは胸の奥底に士舞い込む。
だって、まだ死にたくはないですから…。
ふと、再び溜息が漏れてしまった。
「――で?一体何の用だ?」
さっきから何か言いたそうな面をしているが。
こちらも見ずにユーリが呟き、喉の奥がひくっと鳴ってしまった。
まさか、胸の内を彼に読まれでもしたのかと思ったが、幾ら吸血鬼の彼でもそんな力を持ってはいないだろう。
「ぁっ…あのね」
つい、ひ弱な声が出てしまう。
声にやっと反応を示した彼が無表情な顔を向けてきた。
その瞳がぼくを捕らえる前にぼくは姿を透明にさせた。
けれど、彼相手ではそれは何の効果も持たないことはわかっているので、彼が気付くよりも早く彼の背後に回る。
居る筈の先にぼくを見つけられなかった彼が、遅れて後ろを振り返る。
それよりも早く……
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