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□miss you
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ぼくは寒さを紛らわせるように、縫いぐるみを抱き締めたまま立てた膝を抱えた。
クマみたいな人形の顔に顎を載せ、目を閉じる。
途端、冴える聴覚。
耳の奥で微かにキィィ……ン…と、耳鳴りがして。
静けさに耐え切れず、ぼくはヘッドホンに手を伸ばした。
「………」
携帯を操作し、音楽を再生させる。
そうすれば静寂に支配されていた世界に音が溢れ出し、
ぼくはその音に聴き入るように、再び瞼を閉ざした。
「…………」
頭に響く音色。
静寂は聞こえない。
………でも。
一瞬は満足したけれど、やっぱり満足できずに瞼を開く。
……だって、寒い。
さっきまで雨が降っていた所為で窓から流れてくる風は冷たい。
でも体を動かすのは億劫で、結局ぼくは蹲ったまま横になった。
寒い。
そう考え膝を寄せた時、器用にぼくの部屋の扉を開けて入ってきた黒猫。
しなやかに揺れる尻尾を見詰めていたら、テッドはひらりとぼくのベッドに飛び乗ってきて。
彼の金の硝子玉にぼくが映る。
にゃあと、まるでぼくの名前を呼ぶみたいに鳴くのを聞いて、ぼくは縫いぐるみと一緒にその小さな体を抱き締めた。
…うん。
軟らかく、サラサラの毛並みが頬に当たって気持ちいい。
髭がちょっと痒いけど、まぁ気にしない。
さっきよりは幾分かあったかくなったし。
………とは言っても、やっぱり寒い。