Another Novel
□pluie 〜fantoccini〜 3.5
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……わかってる。
彼の言いたいことくらい、わかってる。
だって、あたしたちは同じ魂から生まれた、言わば兄弟のようなものなんだから。
そう、一卵性双生児のように、不思議な意志疎通のできる、ルリとシオンとあたし。
だから、わかる。
シオンの言いたいことくらい。
「…そうね。"あいつ"は、"スマイル"から生まれた別人格でしょうね」
あたしたちみたいな。
そう付け足せば、シオンはふいっと視線を逸らした。
ルリの連れてきた彼の容姿からして、あたしの推測は当たってると思う。
たぶん……いや、絶対に"スマイル"から生まれた別人格だろう。
だって、彼からは同じ気を感じたんだから。
あの、ユーリの傍にいつだっている、何度か会ったことのあるスマイルのそれを。
でも。
「確かに、あいつはスマイルから生まれたと思うわ。でもね、"スマイル"じゃない」
ぴくり、と、彼の肩が揺れる。
それと同時に、首から下げた十字架が、同じあたしのそれと一緒に光を反射させた。