Another Novel
□pluie 〜fantoccini〜 3
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(ガキというか何というか…)
つーか。
「…気になったんだけど。
なんで、お前らずっと一緒にいんだ?」
金糸の吸血鬼は、オレ…ともう1人、オレの隣にいる奴を見詰めながら、訝しそうに問うてきた。
「……知らねぇよ」
隣では、人の話を聴いているのかいないのかよくわからない顔で、黒髪の吸血鬼……ルリが雨の降り頻る外を見詰めていた。
そう。オレだって知りたいよ。
こいつがここ2、3日の間、ずっと隣にいる理由を。
気付いたらいつだってこいつは隣にいて、オレはそれが不思議でしょうがない。
別に、何かをしてくるわけじゃないから、邪魔だとかはそんなに思わないが…。
「お前……オレになんか用があるのか?」
アリアに呼ばれたシオンが部屋を出ていった後、何となしに訊いてみる。
本のページを捲り、ちらと横を窺うと、彼はさっきと変わらず窓の外を見詰めていた。
暫く彼の返事を待っていたが、どうやら相手には答える気がないらしい。
「シカトかよ…」
ぼそりと呟けば、彼は不思議そうな顔をして、こちらを振り向いた。
「…………?…私に、訊いていたのか…?」
「他に誰がいるっつーんだよ」
溜息を吐き、本へと再び視線を落とす。
隣では、他の2人より少しだけ長い髪を揺らしながら、彼が小首を傾げていた。
「………用なんて…ない」
「じゃあ、なんでいちいちオレといんだよ」
可笑しいだろ。
用がないってのに、ずっと隣にいるなんて。
1人でいたはずなのに、気が付いたらこいつは隣にいる。
いつだって、何をしてくるでも言ってくるでもなく、ただ隣にいるだけ。
何がしたいんだよ……こいつは。